学芸トピックス―瀬能 宏―
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学芸員の瀬能がフジテレビのニュース番組でコメントしました

学芸員の瀬能がフジテレビのニュース番組でコメントしました

2014年9月10日更新

学芸員の瀬能が9月4日に放映されたフジテレビの番組「スーパーニュース」の情報コーナーで、館山を含む相模湾における近年の水温上昇に伴う魚類相の変化についてコメントしました。番組では館山湾に成育するイシサンゴ類と、そこに見られる熱帯性魚類の代表的な例としてソラスズメダイが取り上げられました。ソラスズメダイは伊豆半島など本州の黒潮流域で周年見られる魚ですが、当館の魚類写真資料データベースには同地から記録された1111件(9月4日現在)の画像データが登録されており、それらの中にはより熱帯性と言える魚が含まれています。例えばスズメダイ科ではセナキルリスズメダイやフタスジリュウキュウスズメダイ、ベラ科ではオビテンスモドキやカマスベラ、チョウチョウウオ科ではミカドチョウチョウウオといった魚たちは、仔稚魚期に黒潮によってより南の海域から運ばれ、高水温期にある程度成長しますが、水温が低下する冬季には姿を消してしまいます。館山湾の冬季の平均水温 (14.6℃)が今よりも2℃以上上昇すると、こうした熱帯性魚類も越冬し、中には定着する魚も現れるかも知れません。

 

ニセタカサゴ標本画像
ニセタカサゴ 館山市伊戸沖 KPM-NI 29060

サンゴ礁域に生息する熱帯性魚類で、近年、相模湾沿岸では高水温期に定置網で多数記録されるようになったが越冬は確認されていない。

 

※KPM-NIは当館の資料番号であることを示す記号です。