学芸トピックス―瀬能 宏―
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学芸員の瀬能が海水魚の新種に関する共著論文を発表しました

学芸員の瀬能が海水魚の新種に関する共著論文を発表しました

2016年12月24日更新

学芸員の瀬能が、シドニー大学のギル博士、オーストラリア博物館に所属するギル博士の学生であるティー氏との共同研究により、相模湾から得られた海水魚の1新種に関する論文を動物分類学に関する国際的学術誌『Zootaxa』に発表しました。

この魚はハタ科のイズハナダイ属に分類され、学名には本種の発見に多大な貢献をされたダイバーの高瀬 歩さんに敬意を表し、Plectranthias takaseiと命名しました。標準和名は体側中央にある赤い円形斑が日の丸を彷彿させることから、ヒノマルハナダイとしました。使用された標本は、学名の基準となるホロタイプ(KPM-NI 21068;写真)、その予備標本となるパラタイプ(KPM-NI 21286)のいずれもが当館所蔵の標本です。本種は体長わずか4cmほどで、相模湾の城ヶ崎海岸にある伊豆海洋公園の水深50m前後の岩礁から知られているに過ぎない稀種です。生息環境以外の生態については何も分かっていません。

本研究はダイバーと博物館の研究者との協力関係による成果と言えるもので、学芸員の瀬能が直接関係した同様な事例には、クレナイイトヒキベラCirrhilabrus katoi Senou & Hirata 2000(加藤昌一さんの名を学名に献上)、ナカモトイロワケハゼLubricogobius dinah Randall & Senou 2001(中本純市さんの名を標準和名に献上)、モリシタダテハゼAmblyeleotris morishitai Senou & Aonuma 2007(森下 修さんの名を学名と標準和名に献上)などがあります。

 

なお、本研究に協力された高瀬さんへのインタビュー記事が、12月21日付けで配信された伊豆新聞電信版に掲載されました。

 

ヒノマルハナダイの標本
ヒノマルハナダイPlectranthias takasei, KPM-NI 21068, ホロタイプ, 体長40.0 mm

 

※KPM-NIは当館の魚類標本の資料番号、KPM-NRは魚類画像の資料番号であることを示す記号です。

 

論文情報

Gill, A. C., Y.-K. Tea & H. Senou, 2016. Plectranthias takasei, new species of anthiadine fish from southern Japan (Teleostei: Serranidae). Zootaxa, 4205(4): 349-356. Doi: http://doi.org/10.11646/zootaxa.4205.4.3

http://www.mapress.com/j/zt/article/viewFile/zootaxa.4205.4.3/9597