学芸トピックス―瀬能 宏―
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学芸員の瀬能がテレビに出演し、サヨリの腹が黒い理由について解説しました

学芸員の瀬能がテレビに出演し、サヨリの腹が黒い理由について解説しました

2014年4月9日更新

4月7日にNHK総合テレビで放映された「ゆうどきネットワーク」のコーナー(第16回さかなクンのギョギョ魚発見!)に学芸員の瀬能が出演し、サヨリの腹膜(内臓を収めている腹腔の壁面を覆う薄い膜)が黒い理由について解説しました。

1980年に出版されたD. M. Gatesの「Biophysical Ecology」によれば、多くの昼行性の脊椎動物では、生殖腺が色素を含む組織で取り囲まれていますが、夜行性の近縁種にはそれがないとされています。そして色彩に乏しい魚の腹膜は黒い一方、色彩豊かな魚のそれは透き通っていることがわかっています。これらのことから、黒い腹膜は、体壁を通過する紫外線から臓器を守るために役立っていると考えられています。番組での解説は、このGatesの仮説を紹介したものです。

サヨリは背中側からみると体が半透明で、昼間に海面直下を泳ぐため、こうした「日焼け対策」は、子孫を残すためにたいへん重要なことと考えられます。

サヨリ標本画像

3月19日の取材時に寄贈されたサヨリの標本
横須賀市猿島産 標準体長291.8mm KPM-NI 36039

サヨリの黒い腹膜

腹膜が黒いことを示すために体の右側を切開して内臓を取り出したサヨリ

 ※KPM-NIは当館の資料番号であることを示す記号です。