新しい地球像をもとめて[地球のからくり]
 2A03[ K/T境界 ]
 
K/T境界(きょうかい)
Cretaceous-Tertiary Boundary
 隕石(いんせき)が地球にぶつかるとクレーターができます。隕石の大きさやぶつかる速度(そくど)が大きかったりするとクレーターは大きくなり、その衝撃(しょうげき)も大きなものになります。まわりの大地には衝撃波(しょうげきは)がおこり、小さなホコリは高くまい上がりあつく大気をおおい、有害(ゆうがい)な雨を降らします。海では大きな津波(つなみ)が各地の海岸をおそいます。大きな隕石は、地球に大きな変化をもたらします。
写真 デンマーク、スティーブンス・クリント海岸
   

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衝突

 
K/T境界(きょうかい)とは?
 K/T境界とは白亜紀(はくあき)と第三紀(だいさんき)との時代の境界(きょうかい)のことです。K/T境界は6,500万年前のことです。地質時代は、新しい生物があらわれたり絶滅(ぜつめつ)によって細かく分わけられています。K/T境界(きょうかい)だけが特にとり上げられるのは、いろいろな変なできごとがそこから見つかってきたからです。この境界の地層(ちそう)を調べますと、上下は同じ種類の岩石なのに、その境界だけ違(ちが)う地層がはさまっています。イタリアのグッビオのK/T境界が最初に注目(ちゅうもく)され、有名になりました。
写真 K/T境界

   

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世界のK/T境界
 イタリアのグッビオで最初に見つかった不思議なK/T境界(きょうかい)は、今や世界各地で見つかっています。世界のK/T境界は、ススがはさまっていたり、粘土(ねんど)があったり、津波(つなみ)の堆積物(たいせきぶつ)があったり、つぶれた石英(せきえい)があったり、ガラス質の小さな岩石の破片(はへん)があったりします。K/T境界でのできごとは全地球規模(ぜんちきゅうきぼ)のものだったことになります。
図表 世界のK/T境界(きょうかい)
   

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何がおこったか?
 K/T境界(きょうかい)で何がおこったのかの有力(ゆうりょく)な説(せつ)は、隕石(いんせき)の衝突(しょうとつ)です。その証拠(しょうこ)としてあげられているのはイリジュウム(Ir)という元素(げんそ)があることです。イリジュウムは、地表(ちひょう)では少ない元素ですが、K/T境界には大へんたくさんふくまれていたのです。このようなイリジュウムは、隕石からもたらされたのではないかと考えられました。イリジュウムは、各地のK/T境界層(そう)で見つかっています。衝突した隕石は大きく、ある見積(みつ)もりによると、直径(ちょっけい)10キロメートル以上のものがぶつかったのではないかと考えられています。
図表 K/T境界でのイリジュウムの濃集
   

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恐竜絶滅(きょうりゅうぜつめつ)
 K/T境界(きょうかい)の巨大隕石(きょだいいんせき)は、ユカタン半島(はんとう)に落ちたのではないかということが、人工衛星(じんこうえいせい)による調査(ちょうさ)でわかってきました。ユカタン半島で発見(はっけん)されたクレーターの大きさは直径(ちょっけい)150キロメートルにもなります。K/T境界でのできごとは恐竜絶滅(きょうりゅうぜつめつ)もひきおこしたと考えられています。その一つのシナリオは次のとおりです。巨大隕石の衝突(しょうとつ)により、海では大津波(つなみ)がおこりました。陸では森林の大火災(かさい)が発生(はっせい)し、多くのススが大気中にまい上がりました。また、衝突でくだけちったチリが成層圏(せいそうけん)までまき上がり、太陽の光を遮(さえぎ)るまでとなりました。そのため、何年も冬のような季節がつづきました。光合成(こうごうせい)をする植物は枯(か)れ、植物を食べる生物も絶滅(ぜつめつ)し、変温(へんおん)動物の恐竜(きょうりゅう)は死にたえました。このような巨大隕石の衝突によるできごとなどは、カタストロフィー(破局(はきょく))とよばれています。生物の大絶滅は何度もありましたが、巨大隕石による生物大絶滅は、K/T境界での一度だけだったようです。
図表 恐竜絶滅
   

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