このサルの頭骨化石は1991年に、小泉明裕さん(飯田市美術博物館 学芸員)によって愛川町で発見され、1994年
には同じ地点から発見された脊椎動物の化石6点とともに神奈川県の天然記念物に指定
されました。ここでは、天然記念物に指定された7点の標本を紹介します。
約250万年前(新生代 第三紀 後期鮮新世)の地層から発見されたこの化石は、現在
日本で最も古い霊長類の化石として知られています。世界各地のサルの化石と比較
され、今春、ヨーロッパで発見されていたドリコピテクスの仲間とわかり、新亜属
・新種として岩本光雄さん(前日本モンキーセンター 所長)、長谷川善和さん(群馬県立自然史博物館 館長)、小泉明裕さんによって、学会に報告されました。
名前はドリコピテクス(カナガワピテクス)レプトポストオルビタリス
学名 Dolichopithecus (Kanagawapithecus) leptopostorbitalis といい、最も特徴的な
部分は眼窩(目の孔)の横の骨が薄いことで、学名はその特徴に由来してつけられま
した。また、ドリコピテクスの仲間は、ヨーロッパから神奈川県までの間では化石が
発見されておらず、どのようにして日本までたどり着いたのか、謎に包まれています。
天然記念物にはサルの化石のほか、ステゴドン(ゾウの頭骨の化石)、サイ(手の化石)シロムス(ウミガメ)の背中の甲羅と腹側の甲羅、ホオジロザメの歯とサメの
脊椎の骨が指定されました。ドリコピテクスの化石が発見された地層は、日本に鮮新世の時代の地層がそれほど多くはない中で、
しかも陸生の脊椎動物と海棲の脊椎動物が一緒に発見されるという珍しい例です。 |