2015年度特別展「生き物を描く~サイエンスのための細密描画~」展示風景

7月15日~16日
 展示準備が終わりました

ここ数日は最後の追い込みということもあり、朝から深夜まで、スタッフはひたすら準備をし、どうにか展示が間に合いました。展示が終わった後はケースの固定、電気配線の割り振り、照明の照度設定、やぐらに登ってのスポットライトの角度調整、ケースの清掃と怒涛の勢いで続きます。当館の特別展はほとんどがスタッフの手作りなのです。

作業自体は、大勢のボランティアさんの助けもあり、ほぼ当初の計画通りに進み、16日にはめでたく一通りの準備が終わりました。

いよいよ18日から展示がスタートです。皆様、ぜひお越しください!

展示ケースの固定を行う佐藤学芸員

展示が日に日に出来上がってゆく

スポットライトの調整。やぐらに登り、影がなるべくできないよう、気を配りながら照明を調整する

やぐらの上から見た景色

7月2日~6日
 達人の作品が展示室に続々と搬入されました

今週末とその前後には、故杉浦千里氏と川島逸郎氏、舘野鴻氏の作品が立て続けに搬入され、展示室がグッと華やぎました。準備会場では、絵の見せ方の助言、相談や制作時のお話からはじまり、生き物の話題にそれ、時には臨時で収蔵庫ツアーを開催したりと、とても賑やかな毎日です。
どの達人も作品にものすごい情熱を注いでおり、これらの魅力をなるべく生かせるよう、スタッフも一層、気を引き締めました。

杉浦千里の作品保存会の増田さんご夫妻のご協力を得て、作品を梱包から出す 瀬能学芸員

作品を作業台に並べ、展示作品を選定する川島逸郎さん

展示パネルの設置も急ピッチで進行しています

7月2日
 展示室での準備が進んでいます

6月中旬の博物館燻蒸も終わり、特別展の会場では展示準備が本格化しています。今日は布張りや展示物のレイアウトに加え、田淵行男氏の描いたチョウの細密画のレプリカを、壁からワイヤーで吊るす作業を行いました。実際に壁一列に展示された作品を見て、スタッフ一同のテンションも上がり、次々に展示準備が進んでゆきます。まだまだ空きの多い展示ケース、1週間後にはどのくらい出来上がっているのか、少し不安もありつつ、楽しみなところです。

ボランティアさんの協力を得て作品をワイヤーで吊るす

現在の展示室の風景

6月29日
 特別展で展示予定の、故田淵行男氏が描いた細密画に関するニュースが、新聞に掲載されました

特別展で展示予定の、故田淵行男氏が描いた細密画に関するニュースが、新聞に掲載されました。詳細は博物館トピックスに掲載していますので、ぜひご確認ください。

6月9日
 舘野鴻氏が描かれた細密画の中から展示する作品を選定しました

今日は、今回の特別展にご協力くださる舘野鴻氏が来館され、氏の描かれた見事な細密画の中から、展示に使わせていただく作品を選定しました。氏が絵を描くために行った膨大な量の観察に基づくお話は、とにかく面白く、目から鱗の連続でした。おかげさまで話は大いに盛り上がり、気づいたら昼が目前に迫っておりました。その後、実際に展示室やケースをご覧いただき、20点近い作品の中から、8点を選びました。どんな作品が展示されるかは、当日のお楽しみです。(渡辺・大坪・折原)

会議室で並べた作品の中から展示する作品を選ぶ(左から二人目が舘野氏)

特別展主担当と展示ケースについて打ち合わせている様子

5月7日
 中島睦子氏が描かれたラン科の標本画の中から展示する作品を選定しました

今日は田中学芸員と主担当の渡辺が、今回の特別展にご協力いただく中島睦子氏の描かれたランの標本画を選ぶために、氏の作品が収蔵されている東京大学総合研究博物館に伺い、作品の選定を行いました。中島氏が2012年に出版した「日本ラン科植物図譜」は、当時日本から知られていた日本産のラン科全種(83属259種)を精密な標本画とともに解説した名著で、当館の収蔵標本も描画の際に使用されています。東京大学総合研究博物館では、東京大学の池田博准教授と清水晶子氏の協力を得て、通し番号をつけてきちんと管理されている作品の中から、目的の作品を探す作業を行いました。

今回の展示では、今回選定した中島氏の描かれた作品の原画と図譜、そして当館収蔵標本をセットで展示し、プロの標本画家の技術と哲学をお伝えする予定です。

展示する作品の選定風景

中島睦子氏の描かれた原図(左)
と図譜のコピー(右)

作品保護のためにパラフィン紙で覆って
ありますが、特別展では外して展示します。

5月1日
 今関六也コレクション菌類図譜のスキャニングをしました

菌類学者の故今関六也氏が描いたきのこの彩色細密画を、デジタル画像にする作業を行っています。この細密画は、台紙の上に糊で貼られているものが多く、さらにお手紙、標本などさまざまなものがあるため、スキャン作業は一筋縄ではいきません。作業は3日目に入り、協力いただくボランティアさんの手つきも慣れたものになっています。

今関六也氏は、サルノコシカケ類などのいわゆる硬いきのこを専門にされた菌類学の大家ですが、同時に一般向けの菌類図鑑を数多く手がけました。当館では学芸員の大坪を中心としてこの今関コレクションの整理と解析を行ってきました。今回の特別展では、今関氏が新種として記載した際に描かれたきのこの図や、各種の菌類図鑑に用いられた図などのほか、今関氏が譲り受けた「伊藤篤太郎菌類図譜」の一部も展示します。

菌類図譜のスキャニング作業1

菌類図譜のスキャニング作業2

4月28日
 故田淵行男氏の描かれたチョウの細密画の展示について、打合せを行いました

今日は、特別展の主担当である渡辺と折原の2名が、高山蝶の研究者で、山岳写真家としても著名な故田淵行男氏の描かれたチョウの細密画について、精巧なレプリカを所有されている斎藤禎一氏のところへ、展示の打合せ等のために伺いました。レプリカというとただ単にコピーしたような印象を持つ方もいますが、このレプリカ、大きさや色だけでなく、あらゆる細かな箇所においても、原画をきわめて忠実に再現されており、何も知らないで見た場合、まずレプリカであることには気づかない出来です。今日の打合せではスケジュールの確認のほか、我々主担当にとっては田淵氏作の額装された細密画を見る最初の機会でもあり、その大きさと随所に施された技巧も相成って、吸い込まれるような、すごい迫力でした。

今回の展示では、斎藤氏のご厚意もあり、色とりどりのチョウの細密画を多数、展示する計画でいます。今回は、その作品の雰囲気を少しだけお伝えしま す。写真の細密画は山地のガレ場などに見られるツマジロウラジャノメという種を描いた作品で、その脇の手と比べると、その大きさが分かるかと思います。実 際の展示では、これらの作品を心行くまで、間近から楽しめる予定ですので、楽しみにしていてください。

ツマジロウラジャノメ

4月18日
 奥村定一コレクションの生物画から展示する作品を選びました

今日は、当館の苅部学芸員、川崎市青少年科学館の川島逸郎氏によって、故奥村定一氏の描かれたトンボを中心とした細密画の中から、特別展で展示する生物画の選定作業が行われました。奥村氏は証券やお札に描かれるひじょうに緻密な絵を描くお仕事をされる一方、日本のトンボ学の先駆者として多くの業績を残されました。2013年に当館に寄贈された奥村氏の標本や細密画は、様々な方のご協力を経て整理、大切に保管されてきました。今回、整理のために会議室に並べられた細密画は、その美しさもさることながら、戦前から戦後にかけての昆虫学の歴史的資料としても迫力を感じさせるものでした。今回の特別展では、トンボの専門家である二人が、選りすぐりの作品と標本を展示する計画でいます。どんな展示ができるのか、楽しみですね。

奥村氏のコレクションについては、2013年2月2日のトピックス「日本のトンボ学の先駆者、故奥村定一氏のコレクションが寄贈されました」もご参照ください。

奥村コレクション整理風景1

奥村コレクション整理風景2