2012年度特別展「大空の覇者-大トンボ展-」関連連載記事

>関連記事一覧に戻る

「日本のトンボ 多様な環境 豊富な種」(2012年8月10日掲載記事)

日本には何種類のトンボがいるのか?

現在までに記録されているのは203種。 小さな島国としては相当多い数だ。 例えば、面積が比較的に近い、同じ島国のニュージーランドには、わずか十数種しか記録がない。 日本には周囲を海に囲まれている上、南北に長いため、亜寒帯の北海道から亜熱帯の沖縄まで多様な環境が存在する。 これが、面積が小さい割にトンボの種類が豊富な要因といえる

また、一度も大陸とつながったことがない小笠原諸島も含め、独自の進化を遂げた日本固有の種類も多く知られているが、日本を代表するものとしては「生きている化石」として有名なムカシトンボ、ムカシヤンマなどの古い起源を持つ種類がある。 特に後者はアジア大陸にも生息しておらず非常に貴重なものだ

最近の私たちの研究は、よく知られているオニヤンマが1種類ではなく2種類あったということが分かった。 オニヤンマは北海道から沖縄まで広く分布するが、このうち八重山諸島のものが別の種類であることが明らかになったのだ。 これを「ヒロオビオニヤンマ」と名付けた。 このように、最近の遺伝子の研究で次々と新しい発見がある。

「日本に何種類のトンボがいるのか」という質問の答えが確定するには、もう少し時間がかかりそうだ。

(県立生命の星・地球博物館主任学芸員 苅部治紀)

「大空の覇者~大トンボ展」が11月4日まで県立生命の星・地球博物館で開催されている。

※こちらは2012年8月10日に神奈川新聞に紹介されたものです。

↑ページのトップに戻る