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生命を考える - 地球生命の営み

地球が生んだ多様な生物種

水の惑星-地球は、おだやかな環境をたもちつづける反面、その環境をさまざまに変化させてきました。生物は、このような変化のなかでたくみに進化をつづけ、海から陸へと生活の場を広げました。地球に繁栄(はんえい)する多様な生物の生きるすがたを探ります。

生命展示室・地球が生んだ多様な生物種

陸上への進化

最初の生命は海の中で生まれ、海の中だけで進化をつづけました。陸上は、太陽からの強い紫外線(しがいせん)が降りそそぐ「死の世界」であったからです。ところが、藻(そう)類のつくった酸素は、やがて大気中に広がり、オゾン層をつくりました。このオゾン層は紫外線をやわらげたので、生物が陸上に進出できる条件が、ひとつ満たされました。およそ4億年前のことです。きびしかった陸上は、安全に生活ができるようになったため、植物も、動物も、体のかたちや暮らし方を変化させて、海から陸へと生活の場を広げていきました。

魚類の世界

魚類は、最初の脊椎(せきつい)動物で、今からおよそ5億年前の古生代カンブリア紀に現れました。からだの形や生活のしかたを多様に進化させ、いまでは2万4千種以上が知られています。世界中に分布しており、平野の川や湖から標高5000mをこえる高地の谷川、熱帯のサンゴ礁(しょう)、極地の氷の海、そして沿岸から水深7000mをこす深海など、さまざまな水域に進出しています。

恐竜の時代

爬虫(はちゅう)類は、およそ3億年前の古生代石炭紀に出現しました。そして、中生代三畳紀(さんじょうき)末(2億2000万年前)から急に進化し、発展しはじめました。陸上には恐竜が、空には大きな翼(つばさ)をひろげて飛ぶ翼竜(よくりゅう)がいました。そして、海の中には魚のような形の魚竜(ぎょりゅう)や、紡錘形(ぼうすいけい)のからだをした首長竜(くびながりゅう)、海トカゲなどが泳いでいました。恐竜をはじめとするこれらの爬虫類は、中生代が終わる6500万年前まで、およそ1億6000万年ものあいだ栄えました。

恐竜から哺乳類へ

いまからおよそ2億年前、爬虫(はちゅう)類の一つのグループが「哺乳(ほにゅう)類」への進化をはたしました。哺乳類は、からだが毛(体毛=たいもう)でおおわれ、体温を一定にたもち、子どもは胎生(たいせい)で生まれるなどの特徴をそなえています。およそ6500万年前、恐竜たちが絶滅すると、入れかわるように、哺乳類が地球のさまざまな環境に適応して広がりました。

鳥類の世界

鳥類は、前あしが、羽毛におおわれた「つばさ」になっています。胸骨(きょうこつ)とつばさの付け根を結ぶ筋肉は、飛ぶために大きく発達しています。つばさは、さまざまな形の羽毛でできており、大きな面積の割には軽くなっています。また、骨は軽く、飛ぶために都合のよいつくりになっています。鳥類の仲間は、哺乳(ほにゅう)類の2倍以上にあたるおよそ9000種が知られています。

再び海へ

クジラの祖先は、陸上生活をする4本あしの動物でした。クジラは、いったんは陸上生活に適応したからだのつくりを再び変化させて、水中生活をするようになった哺乳(ほにゅう)類です。流線型のからだ、ひれのようになった前あし、水平に広がった尾などは、水中生活に適応した形です。その一生を海ですごすクジラは、浮力(ふりょく)のはたらきでからだを支える必要がないことや、広い海の豊かな食べ物を利用できたことなどから、巨大(きょだい)なからだになったと考えられています。

ゾウの進化

新生代にはいり哺乳(ほにゅう)類は各地に生活の場を広げました。その中で、草原に出てその植物を食べるように適応し、特殊(とくしゅ)な進化をした哺乳類の仲間に「ゾウ」のグループがあります。ゾウは、いまからおよそ3800万年前、バクに似た小さい動物から進化し、現在、陸上にすむ動物の中で、もっとも大きなからだをしています。ゾウの進化のようすは、からだ、頭、鼻、歯などの変化に現れています。

森の開拓者・霊長類

豊かな森林を、哺乳(ほにゅう)類として本格的に利用することができたのは、サルの仲間(霊長=れいちょう=類)です。森林の枝や葉のしげっている樹上は、天敵となる動物や競争する動物の少ない世界です。ここで、サルの仲間の祖先は、さまざまなからだのしくみや生活のしかたを発達させ、たくさんの種類に分かれました。そして、森林からサバンナや砂漠へと生活の場を広げ、それぞれの環境(かんきょう)にあわせた生活のしかたを身につけてきました。このような発展のなかで人類の祖先も現れてきました。

被子植物の世界

被子(ひし)植物は、種子を保護する子房(しぼう)を発達させることで、裸子(らし)植物にくらべはるかに進化しました。自分の力や、風、水、動物などを利用して種子を散布(さんぷ)し、陸上のあらゆる環境に生活の場を広げました。また、美しい花を咲かせ、花粉を運んでくれる昆虫たちと共生しながら発展しました。そして、いまでは「被子植物の時代」といわれるほど、たいへん栄えています。

昆虫の世界

現在、世界にはおよそ80万種の昆虫(こんちゅう)が知られていますが、今後調査が進むと、その種類は数百万種にものぼるといわれています。からだの色や形はさまざまで、変わった姿をしたものもたくさんあります。昆虫がこれほどまでに多様な発達をとげたのは、飛べることや、からだが小さいことなどの理由によると考えられます。これらの特徴(とくちょう)によって、海の中をのぞく地球のあらゆる環境(かんきょう)に適応し、多様化することができました。

地球環境に広がる生命

地球に生まれた生命は、環境(かんきょう)とのつり合いを保ちながら進化してきました。地球がさまざまな変化をくり返すなかで、新しい環境に適応する力をもった生物が、古い生物にかわって繁栄(はんえい)し、いまでは、地球のすみずみまで、生き物たちで満ちあふれています。

多様性をもたらしたもの

生物のもつ形質は、「DNA」という遺伝(いでん)物質によって、親から子に伝えられます。しかし、生物は、地球のさまざまな環境変化の中で、新しい形質を生みだしてきました。生命が共通の祖先から進化し、さまざまな生き物をはぐくんだしくみを探ります。

生命展示室・多様性をもたらしたもの

多様性のなかの共通性

バクテリアから人間まで、すべての生き物はDNAという共通の物質をもっています。DNAは、親から子へと代々受けつがれていく遺伝(いでん)物質で、アデニン、グアニン、シトシン、チミンという4種類の「塩基=えんき=」が列をつくって並んでいます。この塩基の並び順をもとに、生き物のからだをつくるさまざまなタンパク質がつくられます。このように、すべての生き物がDNAをもっていることは、生き物が、共通の祖先から進化してきたことを示しています。

多様性への道

DNAは、正しく複製(ふくせい)されますが、まれに違ったDNAをつくることがあります。こうした変異(突然変異=とつぜんへんい=)が子孫に伝えられ、それまでの親たちと少し違ったからだの形や性質の子どもが生まれ、変異が大きくなっていきます。さらに、自然選択(しぜんせんたく)のはたらきや生活場所の地理的な隔(へだ)たりなどによって、やがてもとの生き物と違う種類に分かれていくと考えられています。

ノコギリクワガタ属のオスは、大きな個体では、種類によって「大あごの形」がずいぶん違(ちが)っています。しかし同じ種類でも、個体が小さくなるにつれて、大あごの形はだんだん変わっていきます。そして、もっとも小さいものになると、違う種類でも互いによく似(に)たものになってしまいます。

コウテイホソアカクワガタは、左から右へとからだが小さくなり、それにつれて大あごの大きさや形も連続して変わっていきます。この変異は、幼虫が育ってきた生活環境(かんきょう)の違(ちが)いなどによると考えられていますが、ローウィツヤクワガタは、からだの大きさと大あごの関係が、連続しない変異となっています。これは、幼虫の生活環境の違いばかりでなく、遺伝(いでん)的なかかわりがあるためだと考えられています。

種分化のしくみ

同じ種類の生物でも、違(ちが)った場所や環境で生活していると、長い間には自然選択(しぜんせんたく)の力がはたらいて、別の種類に分かれていくと考えられています。たとえば、気候変動(へんどう)や地殻(ちかく)変動などによって、もともとの集団が2つ以上の地域に離ればなれになると、それぞれの環境に、より適した「からだの形や性質」が残されるようになります。そして、時間とともにその変異が大きくなって、やがて異なる種に分かれていきます。