新しい地球像をもとめて[地球のからくり]
 3A02[ 物理的にみる ]
 
物理的にみる
Geophysical Research
 資料(しりょう)が手にはいられないほどの深部(しんぶ)は、間接(かんせつ)的に覗(のぞ)くしかありません。重力(じゅうりょく)や地磁気(ちじき)などさまざまな物理現象(ぶつりげんしょう)が利用(りよう)されますが、なかでも地震波(じしんは)によって地球深部がよく調べられています。地震は私たちの生活をおびやかす嫌(きら)われものですが、地球の営(いとな)みにはいつもつきまとう物理現象なのです。地震波は、嫌(きら)うだけでなく、役に立つ情報もふくまれています。
写真 阪神大震災(はんしんだいしんさい)の被害(ひがい)

   

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地磁気(ちじき)
 地球には磁場(じば)(地磁気(ちじき))があり、自転軸(じてんじく)の両はし付近に極(きょく)があります。地球の磁場によってコンパスの針(はり)はすべて同じ方向(ほうこう)をさします。岩石にも磁石(じしゃく)の性質をもつ鉱物(こうぶつ)(磁性鉱物(じせいこうぶつ))がふくまれています。溶岩(ようがん)が冷(ひ)え固(かた)まるときや堆積物(たいせきぶつ)がたまるとき、磁性鉱物が地球の磁場(じば)の方向にならびます。古い岩石には、古い時代の地磁気(古地磁気(こちじき))が記録(きろく)されています。時代をさかのぼって調べると、地磁気のN極とS極がたびたびいれかわったことがありました。そのような古地磁気を海底で調べると、海嶺(かいれい)を中心に古地磁気の縞模様(しまもよう)が左右対称(たいしょう)になっていました。この対称性が海底の拡大(かくだい)の大切な証拠(しょうこ)となりました。
図表 古地磁気(こちじき)の模様(もよう)

   

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地震波(じしんは)
 地震(じしん)は地球の中でおこる岩石(がんせき)の破壊(はかい)によって発生(はっせい)します。その振動(しんどう)が伝わったものが地震です。振動には何種類かあり、一般的なものは、実体波(じったいは)とよばれ、体に感じる振動です。一番最初につき上がるような、あるいは底がぬけるような揺(ゆ)れがP波あるいは縦波(たてなみ)とよばれるものです。つづいてグラグラとくる揺れがS波あるいは横波(よこなみ)です。S波は垂直振動(すいちょくしんどう)(SV)と水平振動(すいへいしんどう)(SH)があります。そのほかに、地球の表面(ひょうめん)を伝わる表面波(ひょうめんは)(レイリー波とラフ波)と地球全体が揺れる自由振動(じゆうしんどう)などが発生(はっせい)します。このような地震波の性質(せいしつ)を利用(りよう)すると、地球全体や地球内部のようすがわかります。
図表 地震波(じしんは)の伝わり方
   

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地球の中
 地磁気(ちじき)や地震波(じしんは)のほかに、熱(ねつ)や重力異常(じゅうりょくいじょう)など物理的(ぶつりてき)に地球を見る手法があります。地磁気は核(かく)の状態(じょうたい)を示(しめ)し、地磁気逆転(ぎゃくてん)の周期(しゅうき)性は核の運動(うんどう)を示しています。地震波の固体(こたい)しか通らないS波と、液体も通りぬけるP波などの伝わり方や、密度(みつど)の違いによる地震波速度(そくど)の変化などから、地球内部の物理的状態(じょうたい)を推定(すいてい)できます。地球は中心から内核(ないかく)、外核(がいかく)、下部(かぶ)マントル、上部(じょうぶ)マントル、地殻(ちかく)という層構造(そうこうぞう)があり、それぞれの層も複雑(ふくざつ)な構造になっていることがわかってきました。さまざまな方法を使うことによって、地球内部がわかるようになってきました。
図表 地球断面(ちきゅうだんめん)
   

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EPACS Museum of Natural History
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