新しい地球像をもとめて[地球のからくり]
 3A04[ 化学的にみる ]
 
化学(かがく)的に見る
Chemical Analysis
 地球表面(ひょうめん)の大地(だいち)の営(いとな)みによって、深部(しんぶ)の岩石(がんせき)や鉱物(こうぶつ)がもち上げられることがあります。深部からきた岩石や鉱物をくわしく調べると、その成分(せいぶん)から深部のようすが垣間(かいま)みられます。今やその成分を調べる技術(ぎじゅつ)は非常に進み、ppmとかppbという単位(たんい)の微量(びりょう)なものが検出(けんしゅつ)できます。ppmとは100万個の中の一個、ppbとは10億個の中の一個しかないもののことです。10ppbの量がわかるということは日本人全体(ぜんたい)の中から「私」一人を見つけだす能力(のうりょく)があるということなのです。
写真 螢光(けいこう)X線分析装置(せんぶんせきそうち)

   

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マグマ
 マグマは地下深部(しんぶ)のマントルが溶(と)けたものです。地下深部のマントルは固体(こたい)です。固体から液体(えきたい)のマグマがつくられるためには、そこになんらかの物理化学(ぶつりかがく)的な変化がおこったはずです。地球内部の変化(へんか)によって、マグマが地表(ちひょう)にあらわれます。マグマをくわしく調べると、その変化の内容(ないよう)を読みとることができます。また、マグマはマントルの一部が溶けるので、マントルの情報(じょうほう)も読みとることができます。マグマを直接(ちょくせつ)調べることができるのは、火山(かざん)の噴出(ふんしゅつ)のときだけです。少し成分(せいぶん)が変わることがありますが、マグマが冷(ひ)えて固(かた)まった火山岩(かざんがん)を使えば、ほぼマグマと同じ物質(ぶっしつ)を手にいれることができます。火山岩はさまざまな地域(ちいき)、さまざまな時代(じだい)のものがあります。いろいろな火山岩を調べれば、地球内部の時代ごとの変化、地域ごとの変化を読みとることができます。
写真 火山(かざん)(ハワイ)

   

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捕獲岩(ほかくがん)
 マグマは、地中(ちちゅう)を上昇(じょうしょう)するとちゅうの通り道にあった岩石(がんせき)を取りこんでくることがあります。そのようなマグマに取りこまれた岩石を捕獲岩(ほかくがん)(ゼノリスまたはノジュール)とよびます。捕獲岩によっては、地殻深部(ちかくしんぶ)やマントルの物質(ぶしつ)を入手することができます。マグマによっては捕獲岩をたくさんふくむものもあります。そのような捕獲岩を調べると、マグマが通りぬけてきた道の情報(じょうほう)を読みとることができます。ただし、その捕獲岩がどの深さからもってこられたのかははっきりしません。また、すべてのマグマに捕獲岩があるわけではありません。マグマと比べれば、その情報量は少なくなります。しかし、マグマと違(ちが)って深部の物質が変化(へんか)することなく手にはいるという利点(りてん)があります。
写真 捕獲岩(ほかくがん)(秋田県一ノ目潟(いちのめがた))

   

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時間を測(はか)る
 岩石(がんせき)の中の成分(せいぶん)には放射能(ほうしゃのう)をもつものもふくまれています。カリウム(K)、ルビジウム(Rb)、サマリウム(Sm)、トリウム(Th)、ウラニウム(U)などの元素(げんそ)は、一定の時間がたつと放射能を出して別の元素に変化(へんか)していきます。このような元素を放射性元素(ほうしゃせいげんそ)といいます。同時にできた岩石や鉱物(こうぶつ)の中にふくまれる「残っている放射性元素」と「壊(こわ)れてできた元素」の量(りょう)を正確(せいかく)にはかると、どれくらい前にその岩石や鉱物ができたかがわかります。3種類以上の岩石や鉱物のはかれば年代(ねんだい)がわかります。最近では、一点で正確に測る技術(ぎじゅつ)が開発(かいはつ)されました。そのような技術によって、少ししかない資料や小さなものの年齢(ねんれい)をはかることができるようになりました。最古(さいこ)の岩石や、最古の鉱物もこのような技術によって発見(はっけん)されたのです。
写真 最古(さいこ)の岩石
   

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EPACS Museum of Natural History
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