新しい地球像をもとめて[地球のからくり]
 3B01[ 地殻 ]
 
地殻(ちかく)
Crust
 地球の表層(ひょうそう)は岩石からできています。その岩石は地球の殻(から)のようなものですから地殻(ちかく)とよばれています。地殻は、厚(あつ)くても100キロメートルほどで、地球の半径(はんけい)からみれば2パーセントにもたりません。地殻をつくる岩石はさまざまですが、マグマからできた火成岩(かせいがん)が一番多い岩石です。火成岩は、大きくわけて3種類の岩石で代表(だいひょう)されます。花(か)こう岩、安山岩(あんざんがん)そして玄武岩(げんぶがん)です。それぞれの岩石は、べつべつのできかたをします。3つの岩石のでき方は、地球の営(いとな)みを代表するものなのです。
写真 大陸の花(か)こう岩の景観(けいかん)(アメリカ合衆国(がっしゅうこく)ヨセミテ国立公園(こくりつこうえん))
   

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地球の層構造(そうこうぞう)
 地球の内部(ないぶ)は、層構造(そうこうぞう)をもっています。外側(そとがわ)から地殻(ちかく)、マントル、核(かく)となっています。地殻は平均(へいきん)30キロメートル、マントルは約3,000キロメートル、核は3,500キロメートルの層の厚(あつ)さがあります。地殻のそこの圧力(あつりょく)は600MPa、温度は800K、マントルのそこは140GPa、3,000K、核のそこつまり地球の中心(ちゅうしん)部は360GPa、7,600Kにたっします。おおまかに、地殻は花(か)こう岩と玄武岩(げんぶがん)で、マントルはかんらん岩、核は金属(きんぞく)の鉄(てつ)でできています。このような情報(じょうほう)は、地球の中を覗(のぞ)くさまざまな方法で探(さぐ)られたのです。
図表 地球の層構造(そうこうぞう)
   

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大陸の地殻(ちかく)
 地球の層(そう)の中で、直接資料(しりょう)を手にいれることができる地殻(ちかく)が一番よくわかっています。よく見えるためその複雑(ふくざつ)さもわかっています。大陸は花(か)こう岩あるいは花こう岩が変成作用(へんせいさよう)をうけた片麻岩(へんまがん)からできています。大陸には古い時代の岩石がたくさんふまれています。地殻の下部(かぶ)は地震波(じしんは)の情報(じょうほう)によると玄武岩(玄武岩)の組成(そせい)の岩石があると考えられています。高温高圧実験の情報によれば、地殻下部では玄武岩の組成の岩石は、変成作用を受けてエクロジャイトやグラニュライトとよばれる岩石に変わっています。地殻全体を平均(へいきん)すると花こう岩と玄武岩の中間的な安山岩(あんざんがん)組成になると考えられます。
写真  茨城県加波山(かばやま)の花(か)こう岩
   

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列島(れっとう)の地殻(ちかく)
 列島は共通(きょうつう)した特徴(とくちょう)があります。火山があること、海には列島(れっとう)と平行して海溝(かいこう)があること、大陸と列島の間には縁海(えんかい)とよばれる海があることなどです。このような火山列島を島弧(とうこ)といいます。列島の変わりだねには、南米大陸西岸のように大陸の縁(ふち)に火山ができていることもあります。このような列島は陸弧(りくこ)とよばれます。島弧には、全体が伊豆(いず)―小笠原諸島(おがさわらしょとう)のように火山岩ばかりからできている島弧と、日本列島のように古い地層や岩石が寄り集まった上に火山ができている島弧があります。島弧はタイプによって地殻の厚(あつ)さが10キロメートルから50キロメートルまでさまざまです。火山岩のほとんどは安山岩(あんざんがん)でできています。ついでデイサイトとよばれる白色〜灰色の岩石があります。玄武岩(げんぶがん)は、伊豆大島三原山(みはらやま)や富士山(ふじさん)のような火山で見られます。古い島弧では火山も時代ごとに岩石の性格(せいかく)が異(こと)なり、大変に複雑(ふくざつ)になっています。
写真 ニュージーランドの島弧(とうこ)火山

   

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安山岩(あんざんがん)
写真 箱根(はこね)の安山岩(あんざんがん)
   

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海洋の地殻(ちかく)
 海洋底(かいようてい)の岩石は海嶺(かいれい)でできます。海嶺では玄武岩組成(げんぶがそせい)のマグマが上ってきます。海底(かいてい)で、水にふれて急に冷(ひ)やされた溶岩(ようがん)は、枕(まくら)をいっぱい積(つ)み重(かさ)ねたような枕状溶岩(まくらじょうようがん)になります。岩石は黒くて固くて、花(か)こう岩より比重(ひじゅう)の大きい玄武岩(げんぶがん)です。枕状溶岩の下には、溶岩が通りぬけた道にマグマが板状(いたじょう)に固まった岩脈(がんみゃく)が群(むれ)をなして並(なら)んでいます。岩脈群(がんみゃくぐん)は粒(つぶ)の大きな玄武岩で、ドレライトとよばれる岩石からできています。
写真 カナダ、イエローナイフの枕状溶岩(まくらじょうようがん)
   

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玄武岩(げんぶがん)
写真 ハワイの玄武岩(げんぶがん)
   

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