新しい地球像をもとめて[地球のからくり]
 3B02[ マントル ]
 
マントル
Mantle
 地殻の下には、岩石の層が厚くつづきます。地球の表面から2,900キロメートルまではマントルとよばれます。厚さは半径の45パーセントですが、体積では80パーセントを占めます。地球の半分以上はマントルをつくる岩石でできているわけです。マントルをつくっている岩石はかんらん岩です。マントルは地殻をつくる岩石とは別のものからできています。
写真 ニュージーランド、レッドヒルのかんらん岩の偏光顕微鏡(へんこうけんびきょう)写真
   

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かんらん岩
 かんらん岩はカンラン石と輝石(きせき)(単斜輝石(たんしゃきせき)と斜方輝石(しゃほうきせき))をおもな鉱物(こうぶつ)(造岩鉱物(ぞうがんこうぶつ))としてできています。その他に、スピネル、ザクロ石、斜長石(しゃちょうせき)を少しふくむことがあります。火山岩(かざんがん)のように結晶(けっしょう)してないガラス部はなく、すべて大きな結晶からできている深成岩(しんせいがん)に分けられます。マントルをつくっているかんらん岩は、おもにダナイト(カンラン石が70パーセント以上のもの)、ウェールライト(単斜輝石とカンラン石からなるもの)、ハルツバージャイト(斜方輝石とカンラン石からなるもの)、レルゾライト(単斜輝石、斜方輝石そしてカンラン石からなるもの)に分けられます。マントルは、ほとんどレルゾライトからできていると考えられています。
写真 ニュージーランド、レッドヒルのかんらん岩

   

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地殻

 
めくれ上がったマントル
 マントルは地殻(ちかく)より深いところにあります。大陸(たいりく)では50キロメートルより深いところにあります。海洋(かいよう)でも5キロメートルより深いところにあります。このような深いところの岩石は普通(ふつう)は地表ではみられません。しかし、大地の営(いとな)みによって、地殻がめくり上がり、マントルの岩石が地表に顔をだすことがあります。このようなかんらん岩をアルプス型(がた)かんらん岩体(がんたい)とよんでいます。アルプス型かんらん岩は激(はげ)しく大地が変動(へんどう)して山脈(さんみゃく)ができたところにあります。日本でも各地でみられます。このような岩体はマントルの状態(じょうたい)を連続(れんぞく)的に調べられる非常によい材料(ざいりょう)となります。
写真 ニュージーランド、レッドヒルのアルプス型(がた)かんらん岩体(がんたい)
   

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マグマがもってきたもの
 マントルの岩石は捕獲岩(ほかくがん)としてマグマにもち上げられてくることがあります。一番地下深くからくるマグマは、キンバーライトとよばれるダイヤモンドをふくむものです。キンバーライトは普通のマグマと比べると非常(ひじょう)にまれなマグマです。ダイヤモンドは炭素(たんそ)(C)が一番高密度(こうみつど)に結晶化(けっしょうか)したものです。地下150キロメートルより深いところでないとできないと考えられています。そして、キンバーライトのマグマは、すごいスピードでマントルや地殻をつきぬけて上がっていきます。キンバーライトにはかんらん岩の捕獲岩もたくさんふくまれています。普通のマグマはキンバーライトよりたくさんありますが、もっと浅いところでできたものです。マグマがもたらす情報(じょうほう)は深いところほど少なくなります。
写真 佐賀県唐津(からつ)の捕獲岩(ほかくがん)
   

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マントルのようす
 マントルは、地震波(じしんは)速度(そくど)の変化(へんか)によって大きく三つの層に分けられます。400キロメートルまでの上部マントルと、400〜670キロメートルまでの遷移層(せんいそう)、670キロメートルから核(かく)までの間の下部(かぶ)マントルです。このような境界(きょうかい)は、マントルの岩石が大きく密度(みつど)を変化させているところだと考えられています。地球の深部ほど圧力(あつりょく)が高くなり、鉱物(こうぶつ)もより密度の大きいものへと変化していきます。400キロメートルでは、上部マントルのカンラン石がもっと密度の大きいスピネル構造(こうぞう)の結晶(けっしょう)に変化します。670キロメートルでは、カンラン石がペロブスカイト構造の結晶に変化します。
図表 マントルの構成物(こうせいぶつ)

   

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