新しい地球像をもとめて[地球のからくり]
 3B03[ ]
 
核(かく)
Core
 核(かく)をつくっている物質(ぶっしつ)は金属(きんぞく)の鉄(てつ)(Fe)で、少しニッケル(Ni)が混(ま)ざっていると考えられます。このような核の実態(じったい)は直接(ちょくせつ)目で確かめられたわけではありません。地球内部を調べるすべての方法を使って推定(すいてい)されました。また、地球外の惑星(わくせい)の調査や地球外物質(ちきゅうがいぶしつ)などのデータも参考(さんこう)にされました。核という見えないものの推定には、科学の粋(わく)が結集(けっしゅう)されているのです。
写真 鉄隕石(てついんせき)(ケープ・ヨーク)

   

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核(かく)の成分(せいぶん)
 核(かく)を構成(こうせい)する成分(せいぶん)は、おもには鉄(てつ)(Fe)です。そしてニッケル(Ni)を重量(じゅうりょう)で5パーセントほどふくんでいます。FeはNiの16倍ほどの量があるとされています。このような成分は、鉄隕石(てついんせき)の化学分析(かがくぶんせき)から推定(すいてい)されます。純粋(じゅんすい)な鉄・ニッケル合金(ごうきん)の高温高圧実験(こうおんこうあつじっけん)では、地震波(じしんは)からえられる密度(みつど)より1〜2g/cm3ほど大きくなります。このことから核には密度の小さな成分がふくまれていると考えられています。水素(すいそ)(H)は金属の鉄によく混(ま)じり、高圧では金属の性質(せいしつ)をもつことが知られています。けい素(Si)や酸素(さんそ)(O)はマントルにたくさんある成分です。イオウ(S)は硫化鉄(りゅうかてつ)(FeS)として隕石(いんせき)にたくさんふくまれています。このような理由(りゆう)によりH、Si、O、Sなどが軽(かる)い成分の候補(こうほ)と考えられています。
図表 核(かく)の成分(せいぶん)

   

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地球の磁場(じば)
 地球の磁場(じば)は、他の地球型惑星(ちきゅうがたわくせい)(水星(すいせい)、金星(きんせい)、火星(かせい))と比べてけた違(ちが)いに強(つよ)くなっています。水星の100倍、火星の500倍の強さです。このような強い磁場によって地球の周(まわ)りには磁場のバリアができています。太陽や宇宙からの有害(ゆうがい)なイオン粒子(りゅうし)をはね返してくれます。太陽から激(はげ)しいイオン放出(ほうしゅつ)があると、その影響(えいきょう)で北極(ほっきょく)や南極(なんきょく)に美しいオーロラができます。このような強い磁場は、核(かく)でつくられています。核は金属(きんぞく)でできており、その内部が動くと発電機(はつでんき)(ダイナモ)のように電気(でんき)が生じ、その電気が磁場をつくっているというモデルです。そのためには核の少なくとも一部は激(はげ)しく流れていなければなりません。
写真 オーロラ
   

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核(かく)のしくみ
 核(かく)の内部(ないぶ)は、大きく2層に分けられます。外側は外核(がいかく)で、内側が内核(ないかく)です。外核は液体(えきたい)で、内核は固体(こたい)です。温度は3,000〜7,600K、圧力はおよそ140G〜360GPa、密度(みつど)は10〜13g/cm3もある超高温高圧(ちょうこうおんこうあつ)の世界です。外核は地震波(じしんは)のうち液体を通らないS波が伝わらず、P波が急に遅(おそ)くなります。超高温高圧下の外核では、液体の金属鉄(きんぞくてつ)は水と同じようなさらさらした状態(じょうたい)で、時速(じそく)10メートル程度で流れています。このような運動(うんどう)が、地磁気(ちじき)をうんでいます。地磁気は平均(へいきん)すると20万年ごとに逆転(ぎゃくてん)していることから、外核の運動(うんどう)も長い時間をかけて大きく変動(へんどう)していることがわかります。
図表 核(かく)のしくみ
   

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EPACS Museum of Natural History
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