|→■2. 氷期と間氷期
+2℃の世界
縄文時代に見る地球温暖化
過去の地球 −繰り返した気候変動−
地球は四十六億年の歴史の中で、ダイナミックに気候変動を繰り返してきました。地球が氷の塊に、あるいは逆にサウナのような状況になるといった温度の大変化があったのです。そのたびに生物は絶滅と多様化を繰り返し、進化してきました。
そして、現在。おそらく地球は新しい局面を迎えています。これは過去から続く全体の流れをとらえ、その中に今の地球を位置づけることでより鮮明になるでしょう。
寒い地球(氷期)と暖かい地球(間氷期)を繰り返すリズムも、現在の位置づけを知るヒントです。氷期から間氷期への急激な地球温暖化は、この数十万年間に何度もありました。二万年前の氷期の最盛期以降、約一万年前に間氷期となり、六千年前には温暖のピークを迎えています。
この一万年前以降の急激な海面上昇がいわゆる"縄文海進"です。神奈川では現在より海面が四メートルほど、海水温は約二度高くなりました。現在では南の暖かい海にすむ貝が、当時の地層から見つかるように、貝たちの応答がかつての急激な温暖化の様子を知る手掛かりとなっています。
現在の地球温暖化は、人類の活動による要因が強いものです。温室効果ガスの二酸化炭素の増加もその一つです。その二酸化炭素濃度は、過去数十万年に知られる値をはるかに超えています。今後、地球のシステムがどのように作用するのかは予測不可能です。
地球環境問題を考えるとき、個々の情報の蓄積とともに、それらの情報をもとにして多面的に地球をとらえることが必要でしょう。それでも私たちは、地球のごく一部を見ているにすぎません。これから私たちはどう生きるか、過去の地球を知り、現在をとらえ、未来を考えていくことにしましょう。
(県立生命の星・地球博物館学芸員・田口 公則)
6000年前の温暖化を縄文時代に見る企画展のポスターから
※ 2005年1月19日に、神奈川新聞に掲載された記事を再録しました。
|