■10.貝塚←|→■12.リズム
+2℃の世界
縄文時代に見る地球温暖化
温室効果 −濃度増す二酸化炭素−
地球全体での平均気温は、およそ一四度です。これは地球の表面を覆う「大気」の働きによるものです。もし大気がなければ、マイナス一八度になってしまうと考えられています。
太陽からの光は、大気を素通りするので地表が暖まります。暖められた地表は宇宙へ熱を逃がすのですが、この逃げていく熱の一部が大気を暖めます。この様子が農業で使う「温室」のガラス屋根の役割に似ているので、「温室効果」といいます。
大気の成分の中で、温室効果に大きな影響を与えるのは、水蒸気です。温室効果全体の八割以上を受け持っているといわれます。水蒸気の量は、季節や場所での変動が激しく、大気中の濃度は0.1〜5%と幅があります。
このほかには二酸化炭素やメタン、フロン(ハロカーボン)があります。これらは「温室効果ガス」として地球温暖化問題の原因物質として扱われています。この温室効果ガスは、観測の結果、量が増えてきていることが分かりました。
図は、二酸化炭素濃度と気温との関係を示しています。気温は紫色の棒グラフが各年の値、赤い折れ線が五年間の移動平均を示しています。二酸化炭素濃度は、波を打っている水色の線が観測値で、中央の青い線が五年間の移動平均を示しています。
気温の上昇と、二酸化炭素濃度の上昇のカーブが似ていると思いませんか? 温室効果ガス濃度の増加は、気温の上昇を招くと考えられています。気候変動に関する政府間パネル(IPCC)が発表した未来予測では、このまま何の対策も取らずにいると、百年後には最大で九〇〇ppmまで二酸化炭素が増大し、気温も四.五度上昇すると警告しています。
(県立生命の星・地球博物館学芸員 新井田 秀一)
世界の年平均地上気温(気象庁)とハワイ・マウナロア気象観測所での二酸化炭素濃度(温室効果ガス世界資料センター)の経年変化
※ 2005年1月31日に、神奈川新聞に掲載された記事を再録しました。
|