■11.温室効果←|
+2℃の世界
縄文時代に見る地球温暖化
リズム −狂った?寒暖の周期−
地球の気候変化には一定のリズムがあるようです。過去を振り返ると、暖かい時期と寒い時期は交互にやってきています。今は暖かい時期を終え、寒くなっていく時期にあたるはずです。
図は、ここ最近の(といっても、地球の歴史の中でのことで、私たちの感覚ではずっと昔のことですが)環境の変化をイメージしたものです。矢印は、気温や海面の高さなどの変化の傾向を表しています。丸顔は、神奈川の大地の変化を示しています。丸の上側にある緑色の部分は陸地で、下側の水色は海です。この企画展では「かながわくん」と呼んでいます。
気温の高い時期、かながわくんも暑がっています。この時期では、下側にある海の部分が増えています。寒い時期、かながわくんは震えています。暖かい時期に比べると海が狭くなっています。
矢印の変化にも注目してください。暖かくなる変化は急激に進み、逆に寒くなる変化はゆっくり進みます。神奈川では、一万年前から六千年前にかけての縄文海進期に、海面が一気に、およそ四十メートルも上昇したことが分かっています。おそらく、暖かくなると、さらにその暖かくなることを助ける仕組み(正のフィードバック)が働くのでしょう。
またこの矢印は、大気中の二酸化炭素CO2濃度の変化も示しています。赤い点線は、産業革命以前の過去数十万年間での南極での濃度の最高値(約二八〇ppm)です。現在は、この濃度を超えてしまっています。
これは何を意味するのでしょうか?CO2などの温室効果ガスの濃度は、気候の変動に大きな影響を与えるといいます。気候変化のリズムからみれば寒くなっていくはずの気候。逆に暖かくなってしまうのでしょうか?
(県立生命の星・地球博物館学芸員・新井田 秀一)
気候の変化と神奈川の大地の変化 (企画展ワークテキストから)
※ 2005年2月1日に、神奈川新聞に掲載された記事を再録しました。
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