自然史アーカイブズをひらく
野山を歩き、川や海に入り、動植物や地質などを調査・研究する自然史科学。その舞台裏では、スケッチ・メモ・写真などの膨大な記録資料が生み出されてきました。
そこには、調査の足跡や失われた自然の姿、博物館の収蔵標本の情報、ときには研究者たちの情熱が眠っています。残された記録資料を読み解いて、自然史アーカイブズへの道を拓いてみましょう。
| 開催期間 | 2026年2月21日(土)から5月10日(日) |
|---|---|
| 開催時間 | 9時から16時30分(入館は16時まで) |
| 休館日 | 休館日案内をご覧ください |
| 観覧料 | 無料(常設展示室への入場には観覧券が必要です) |
| 展示場所 | 1階 特別展示室 |
| 主催 | 神奈川県立生命の星・地球博物館 |
| 後援 | 神奈川新聞社、tvk(テレビ神奈川)、デジタルアーカイブ学会 |
| 協力 | 東京大学総合研究博物館、大阪市立自然史博物館、川島逸郎、佐久間大輔、内田啓子 |
展示内容
企画展「自然史アーカイブズをひらく」展示資料リスト(647.2 KB)
プロローグ
自然史科学に魅入られた人々が、日々の探究活動の中で生み出してきた記録資料。彼らの部屋の片隅を模したシンボル展示から、自然史アーカイブズを巡る旅に出発しましょう。
第1章 研究者の「知」をひらく
第1章では、過去の研究者たちが残した記録資料を紹介します。研究の過程で生み出されたさまざまな記録に残る彼らの「知」を読み解いて、自然史研究の裏側をのぞいてみましょう。
図譜から繋がる物語 ―今関六也菌類資料―

日本を代表する菌類学者の一人、今関六也(1904~1991)の記録資料から、キノコのスケッチや研究メモ、写真フィルム、論文の原稿などを紹介します。当時の自然史研究に不可欠だった画工(佐久間文吾、藤島淳三、内藤秀因)による作品も紹介します。
【構成】スケッチが標本と図鑑をつなぐ/新種を見出す「眼」/時代とともに変わる記録資料のかたち/画家たちの痕跡
新たな世代に託された学者の情熱 ―魚類スケッチコレクションズー
著名な魚類学者たちが研究の過程で描いた数々のスケッチを紹介します。これらは現在も教育普及や研究などに活用され、次の世代の研究者たちを力強く支えています。
【構成】稚魚スケッチコレクション/山川コレクション
黎明の魚類学を支えた日本画の技巧 ―岸上鎌吉のサバ科図譜―

明治時代に水産学の土台を築いた岸上鎌吉(1867~1927)の資料を紹介します。サバ科魚類の研究は岸上の代表的な業績の一つです。サバ科図譜は博物画家の吉川繁蔵が描いたもので、日本画の技法を生かした精緻な表現によって、姿や色合いの再現が難しいサバ科魚類の特徴が如実に描き出されています(東京大学総合研究博物館所蔵)。
【構成】謎多き博物画家―吉川繁蔵
昭和のトンボ研究者のまなざし ―奥村定一資料―
奥村定一(1899~1987)は、昭和期に活躍した日本のトンボ研究の先駆者です。100年前の小田原を物語る資料から解き明かされたトンボ標本の謎や、新種記載にまつわる秘話を紹介します。
【構成】証券図案家としての顔とトンボへの関心/昆虫画家としての仕事/1日違いの舞台裏?!新種記載をめぐる人間模様/スケッチからわかる苦労と経緯/100年目の証拠 標本の由来をたどって/失われた自然環境を読み取る/幅広い交流の記録
どう記すか、何を記すか ―さまざまな調査記録
自然史研究の出発点である野外調査。一見乱雑にも見える走り書きには、時間の制約が伴う現場でも自然を正確に、詳しく記録しようとした研究者やナチュラリストたちの工夫が凝らされています。目の前の自然を逃すまいと書きとめられた様々な生の記録をご覧ください。
【おもな展示物】失われた大地の形見―笠間友博研究ノート―/マントヒヒの行動観察記録/ナベヅルの行動観察記録/種子島の地質調査資料/山北町・石切場跡の調査記録/ロンボク海峡通過時の記録―青柳昌宏の野帳―(内田啓子氏所蔵)
第2章 資料の「記憶」をひらく
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30年以上前、この博物館をオープンさせるために国内外から展示用の標本が集められました。展示室を泳ぐクジラや巨大な岩石はどこから来てどうやって展示されたのか。当時の記録をひもとくと、標本の「記憶」が見えてきました。
巨大岩盤展示の舞台裏

当館常設展示の見どころの一つ、高さ8m以上に及ぶ巨大な「岩石の壁」。ここに使われている岩石標本が、どこでどのように採集され、展示物へと姿を変えたのか。その証拠は当時のアーカイブ資料の中に残されていました。岩石標本のルーツを示す資料群を紹介します。
【おもな展示物】
「岩石の壁」(ストロマトライト、ドロマイト、リップルマーク、トラバーチン、枕状溶岩)、「上倉田層のカキ礁」、「日本列島の岩石」の標本採集・展示製作に関する記録文書・写真フィルム・記録映像
クジラ全身骨格展示までの道のり ―鯨類標本にまつわる記録―

当館生命展示室の吹き抜けを見上げると、そこには5頭のクジラが悠々と泳いでいます。マッコウクジラとコククジラは県内に漂着した個体の実物標本、オウギハクジラは北海道に漂着した個体の骨格をもとに作られたレプリカです。当時の学芸員らによる記録から、3頭のクジラ個体の調査から展示までの道のりを紹介します。
【構成】オウギハクジラの標本収集とレプリカ作製/鯨体調査から全身骨格の展示まで
第3章 アーカイブズへの道をひらく

過去から現在までに積み重ねられてきた膨大な記録の山。これらは果たして未来の"宝"になりえるのでしょうか。記録資料に誰もがアクセスできる「自然史アーカイブズ」への取り組みと、デジタル技術との融合によってひらかれる新たな世界を紹介します。
教育、研究、保全、AI学習まで ―魚類写真資料データベース―

魚類学では、魚の新鮮な状態の色彩を正しく記録するためにデジタル写真が活用されています。「魚類写真資料データベース」は、多くの魚類写真を検索可能な形で公開し、さまざまな場面で魚類学の知識を社会に届けてきました。近年ではAI開発のための機械学習に利用されることもあり、さらなる活躍が期待されます。
【構成】魚類写真資料データベースの活用フロー/AIにも活用される博物館のデジタルアーカイブ
標本を取り巻く情報の整理と公開 ―地層はぎ取りアーカイブズ―

当館では地質学的に重要な露頭の「地層はぎ取り標本」を収集しています。地層はぎ取り標本は、「どの場所で、地層のどの部分を、どのような向きで収集したか」といった、標本の由来を示す付随情報が重要ですが、20年以上前の標本にはこれらの付随情報がなく正体不明なものもありました。そこで当時の学芸員らに聞き取りを行いながら標本の由来を調査し、標本を取り巻くさまざまな情報を紐づけて収蔵資料データベースに登録した取り組みを紹介します。
【構成】
地層はぎ取り標本を取り巻く情報が整理・公開されるまでのフロー
先端技術でよみがえる露頭 ―記録が拓く3Dアーカイブズへの道―

遺跡の発掘に伴って発見された貴重な化石群。しかしその現場は調査終了とともに失われ、街並みの下に眠っています。当館学芸員、松島義章(1936~2021)によって記録されていた調査写真を現代の技術「フォトグラメトリ」を用いて解析した結果、立体的な地層を復元することに成功しました。残されていた野帳の記録と組み合わせて可能となった新たなデジタル資料を紹介します。
【おもな展示物】松島の野帳(フィールドノート)、発掘現場の記録写真フィルム、発掘現場の露頭3Dモデル映像
学芸員コラム
デジタルで化石の発掘―現在の「記録資料」のかたち―(当館学芸員 松本涼子)
「デジタルな標本」からはじまる新たな活用(大阪市立自然史博物館 佐久間大輔)
エピローグ
自然史の探求とともに生み出され蓄積されてきた記録。そこには、今そして未来の宝が眠っているかもしれません。展示室を出る前にもう一度、シンボル展示「ナチュラリストの部屋」をご覧ください。「モノの山」に見えたこの風景の中に、あなたはどんな「未来の宝」を見つけますか?
- 本企画展「自然史アーカイブズをひらく」の記録
この企画展の準備作業の記録の一部を紹介します。
- 教えて!あなたのアーカイブズ
カードに感想、コメントを書いて掲示しよう!
- 企画展で謎解きに挑戦!
謎が解けたらオリジナルポストカードをプレゼント!

- スタンプコーナー
日付の入ったスタンプで今日を記録しよう!
- 映像コーナー
舞台裏の様子を映像で紹介します。
関連イベント
ミュージアム・リレー 企画展「自然史アーカイブズをひらく」を学芸員が解説します!
| 日時 | 2026年2月27日(金)13時15分から14時45分 |
|---|---|
| 申込締切日 | 2026年2月14日(土) |
| 内容 | 企画展「自然史アーカイブズをひらく」を学芸員がご案内します。 |
| 申込方法 | 事前申し込み制(抽選) |
| 場所 | 講義室・特別展示室 |
| 対象 | 中学生から成人 |
| 定員 | 20人 |
座談会「ラウンドテーブル・どうする?自然史アーカイブズ」

| 日時 | 2026年2月28日(土) 13時から16時20分(12時開場・受付) |
|---|---|
| 申込締切日 | 2026年2月25日(水) |
| 内容 | 自然史の調査研究の過程で生み出されてきたスケッチ、ノート、写真などの記録資料。これらの資料には貴重な情報が含まれている一方で、その受け入れ・整理・公開ではさまざまな難しさが伴います。研究者やナチュラリストらが残した記録資料の管理と活用について、みんなで考えましょう。参加者が互いに発表したり問いかけをしながら進めていく、主に関係者向けの参加型イベントです。 |
| 申込方法 | 事前申し込み制 |
| 定員 | 先着40名 |
| 対象 | アーカイブズ資料管理に携わっている方や、こうした資料の管理に関心のある方。 (おもに関係者向けの内容ですが一般の方もご参加いただけます。) |
記念写真&ギャラリートーク in ミューズ・フェスタ2026
詳しくはミューズ・フェスタ2026をご覧ください。
記念写真でアーカイブ!

| 時間 | 2026年3月14日(土曜)、 3月15日(日曜) 11時30分から12時30分 |
|---|---|
| 内容 |
企画展のシンボル展示で特別に記念撮影ができます。 |
| 場所 | 1階 特別展示室 |
企画展ギャラリートーク
| 時間 | 2026年3月14日(土曜)、 3月15日(日曜) 15時10分から15時40分 |
|---|---|
| 内容 | 開催中の企画展を学芸員が解説します。 |
| 場所 | 1階 特別展示室 |
講座 自然史のアーカイブズを見てみよう

| 開催期間 | 2026年4月26日(日曜) 10時から15時30分 |
|---|---|
| 申込締切日 | 2026年4月14日(火曜) |
| 内容 | 博物館には昔の研究者が書いたフィールドノートやスケッチ等、標本以外の資料がたくさんあります。新発見の裏側でどんなことがあったのでしょうか。古生物学者や菌学者の資料を読み解きます。開催中の企画展の解説も行います。 |
ミニ企画展示 フィールドノートの向こう側―ナチュラリスト青柳昌宏の軌跡―

開催中の企画展「自然史アーカイブズをひらく」(2026年2月21日〜5月10日)の関連展示として、ナチュラリスト・青柳昌宏の記録資料に焦点を当てたミニ企画展示です。
青柳は1971年、第13次日本南極地域観測隊の生物担当の隊員としてアデリーペンギンの生態を調査したのを皮切りに、ニュージーランド・オーストラリアの亜南極、南アフリカのケープタウンなどに海外遠征を行いました。数多くのフィールドノートにペンギンの生態や生息地に関するスケッチを残しているほか、遠征先から家族に送った手紙にも、生き生きとした自然の姿を描いています。
たぐいまれな観察眼と、「自然の驚異を誰かに伝えたい」という情熱の軌跡を、実物のノートや手紙、原稿から感じ取っていただけたら幸いです。
| 開催期間 | 2026年4月29日(水曜・祝日)から5月23日(土曜) |
|---|---|
| 開催時間 | 9時から16時30分(入館は16時まで) |
| 観覧料 | 無料(常設展示室への入場には 観覧券が必要です。) |
| 展示場所 | 情報コーナー(2Fライブラリー入口) |
| 協力 | 内田哲子 |
第146回 サロン・ド・小田原 自然史アーカイブズ―書いて描いて撮った探究者の記録―
| 日時 | 2026年5月9日(土曜)14時から15時30分(受付は13時40分からです) |
|---|---|
| 内容 | 展示だけでは語り切れない奥深い自然史アーカイブズの世界を紹介します。 |
| 対象 | どなたでも |
| 申込 | 当日受付 先着45名 |
| 料金 | 無料(常設展観覧の場合、別途観覧料が必要) |

