当館の所在地「入生田」が新種のトリュフの学名になりました!
2021年4月20日 更新
一般には「トリュフ」として知られるセイヨウショウロ属の菌類は、地中や落ち葉の下に類球形のきのこを形成する「地下生菌」です。トリュフは国内にも20種以上が分布していますが、その多くはまだ正式に名前(学名)が付けられていません。
今回、これまでに当館の所在地である小田原市入生田でしか採集されていない、幻のトリュフの一種が、アメリカ菌学会(The Mycological Society of America)発行の学術誌『Mycologia』に掲載された論文中で新種として発表されました。この新種の学名Tuber iryudaense H. Sasaki, A. Kinosh., M. Nakajima, Orihara & Nara の種形容語※“iryudaense”は、採集地である「入生田(= Iryuda)」にちなんで名づけられたもので、この地名を含む学名は前例がないものと思われます。和名は、きのこの色合いから「キチャセイヨウショウロ」と名付けられました。当館学芸員の折原も、学名の命名者および論文の共著者として、研究に協力しています。
この論文中では、神奈川県にも広く分布するトリュフの一種Tuber tomentosum H. Sasaki, A. Kinosh. & Nara(和名:チャセイヨウショウロ)も、併せて新種記載されています。
小田原市入生田特産の新種トリュフT. iryudaense は、現在開催中の企画展「かながわ発 きのこの新種展」でも追加展示中です!
※生物の種の学名は、属名とそれに続く種形容語(種小名)の2語の組み合わせで表現されます。
掲載論文情報
小田原市入生田で発見されたトリュフの新種,T. iryudaense(キチャセイヨウショウロ)子実体(収蔵資料番号:KPM-NC 27379).
内部につくられる胞子が非常に大きく,肉眼でも黒褐色の胞子の細かな粒が確認できる.