形成史からテフラを見る 古期カルデラの形成

TAm-1(Tu-1,アラレ,土屋α)

白色降下軽石層(粗粒なピンク色軽石を多く含む)、火山灰層、上部に軽石流堆積物を伴う。中井町比奈窪では層厚約 4m の厚い降下軽石層で、最大粒径 25cm。最下部と下部付近に灰色火山灰層を伴うが、他の部分の降下ユニットは明瞭ではない。伊勢原市高森では層厚 50cm、最大粒径15cm、最大粒径 7.5cm の粗粒な岩片を上部に多く含む(笠間・山下, 2005)、横浜市保土ヶ谷区仏向町では層厚 75cm、最大粒径 4cm(笠間, 2006)。大磯丘陵のTAmテフラ累層(土屋(Tu)ローム層)に含まれる。横浜地域では舞岡(Mk)テフラ累層(舞岡(Mi)ローム層)、六ッ川(Mt)テフラ累層(土橋(Ts)ローム層)に含まれる。箱根火山の代表的テフラの 1 つ。箱根火山最大級のプリニー式噴火の噴出物と思われる。軽石流堆積物は、かつて平塚市土屋周辺に露頭があった。層厚 3m 以上、最下部にはシルトサイズ以下の細粒火山灰粒子に枯渇した岩片、軽石が集積した部分がある。この軽石流は大磯丘陵を越えての分布は確認されていない。このテフラのフィッショントラック法年代値は約 21 万年前である(磯ほか, 1981)。町田・新井(2003)はこのテフラが海洋酸素同位体ステージ 7.1 直後に噴出した可能性を指摘しているが、これを地球軌道要素年代に当てはめると 20 万年前より新しく、18 万年前程度になるとみられる。

TAm-1(Tu-1,アラレ,土屋α)露頭写真
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スペ10

露頭写真:神奈川県平塚市土屋(2002.6)

鉱物写真:神奈川県平塚市土屋(2004.9)
(1)下部軽石接写写真 (2)火山灰接写写真 (3)軽石下部接写写真
(1)下部軽石(2)火山灰(3)軽石下部
(4)軽石上部接写写真
(4)軽石上部

     
多摩TAm-1/TAm-1(町田・新井, 2003)および軽石流
他の名称/記号 TAm-1(町田ほか, 1974)、多摩上部ローム層1/Tu-1(上杉, 1976)、α(遠藤・上杉, 1972)、古期軽石流3/OP3(町田, 1971b)、土沢A軽石/Ts-AP(町田, 1973)、アラレ(鶴見・大村, 1966)、六ッ川1/Mt-1、舞岡11/Mk-11(町田ほか, 1974)、舞岡12(ニセ三色)/Mi-12 、土橋2/Ts-2(関東第四紀研究会, 1974)
分布(露頭) 平塚市土屋矢沢、伊勢原市高森、横浜市南区六ッ川・保土ヶ谷区仏向町など
推定体積 >10km3(町田ほか, 1974)、約8km3(町田, 1977)、>5km3(高橋ほか, 1999)
鉱物の特徴 opx>mt>cpx、opx(γ)1.716-1.721(1.718)(町田ほか, 1974)、
opx>mt>cpx(上杉, 1976)

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