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スタッフ写真

勝山 輝男 (Teruo KATSUYAMA)

学芸員

専門:植物分類学

E-mail:katsu@nh.kanagawa-museum.jp

神奈川県植物誌を作ることから植物の世界に入ったので、維管束植物(茎のある植物)ならば平均して手がけてきました。性格がへそ曲がりなのか、カヤツリグサ科、イネ科、アカザ科、ヒユ科、ナス科など、目立たない花をつけるものを多く扱ってきました。最近はカヤツリグサ科のスゲ属植物にどっぷりと浸かっています。学生時代は山岳部に所属し、年間100日以上も山に入っていました。そのおかげで、地形図を見て山の景色が想像できたり、天気予報も得意です。

2016年4月23日 更新

資料収集(あつめる)

収蔵資料データベースによると、2016年3月31日現在の当館の維管束植物標本は約290,000点あります。これらの標本のおよそ半数は神奈川県植物誌調査で集められた標本です。残りの約半数が日本各地の標本で、多くの方々が収めてくださった貴重な標本です。植物調査や研究の証拠標本として保管されるほか、植物の同定、分布資料、研究の比較材料など、さまざまな用途に利用されます。一人が収めた標本でもっとも多いのは、大場達之氏の約30,000点、2番目は古瀬 義氏の約25,000点、次いで高橋秀男氏の約22,000点です。古瀬氏は日本有数のプラントハンターでその標本は海外の博物館にもたくさん収められています。大場氏と高橋氏は当館学芸員のOBです。ちなみに、私の収めた標本は約18,000点で4番目の記録になります。先輩諸氏にはとても追いつけそうにありませんが、価値のある標本を次世代に遺せるように努力したいと思います。

調査・研究(しらべる)

神奈川県植物誌調査

ある地域に生育する植物の種類構成を植物相といい、普通は植物のリスト(植物目録)であらわされます。これに各種の特徴や分布状況などの記載を加えたものを植物誌といいます。1979年に神奈川県植物誌調査会が発足し、当館の前身の神奈川県立博物館と協力して、神奈川県の植物誌調査が始まりました。大学を卒業して2年目の私も植物誌調査会に入会し、植物誌調査に加わりました。この調査は「神奈川県植物誌1988」が刊行されて実を結びました。その後も植物誌調査は継続され、当館が小田原にオープンした後に第2期目の調査を行い、「神奈川県植物誌2001」が刊行されました。「神奈川県植物誌2001」から12年が過ぎ、「神奈川県植物誌1988」からはすでに25年が経過しています。この間に神奈川県の自然環境は大きく変化しています。植物グループでは神奈川県植物誌を2017年度を目途に改訂すべく、2013年より当館の総合研究として、第3期目の調査を始めたところです。標本のデータベースに基づいて、広域の植物相の変化が追跡されたことはなく、25年間の植物相の変化が明らかになると期待されます。

スゲ属植物

カヤツリグサ科スゲ属植物(Carex L.)は世界に2000種以上、日本には約250種がある大きな属です。日本の種子植物はよく調べられているので、めったに新種に出会うことはありません。その中でスゲ属植物は未解明の分類群の残る数少ないグループです。最近の10年間でも、ユキグニハリスゲ(Carex semihyalofructa Tak.Shimizu)、カゴシマスゲ(C. kagoshimensis Tak.Shimizu)、チチジマナキリスゲ(C. chichijimensis Katsuy.)、ムニンヒョウタンスゲ(C. yasuii Katsuy.)、サトヤマハリスゲ(C. ruralis J.Oda et Nagam.)、コウヤハリスゲ(C. koyaensis J.Oda et Nagam.)、アキザキバケイスゲ(C. mochomuensis Katsuy.)、ベンケイヤワラスゲ(C. benkei Tak.Shimizu)、シモツケハリスゲ(C. noguchii J.Oda et Nagam.)、アマミナキリスゲ(C. tabatae Katsuy.)の10種の新種が記載されています。既知の分類群の中にも、その位置づけを変更しなければならないものもあります。日本産スゲ属植物を再検討し、より理解しやすい分類を確立することを目標に研究を行っています。また、東アジアからヒマラヤ地域のスゲ属植物やヒゲハリスゲ属植物(Kobresia Willd.)にも目を向けています。

日本に産するイネ科モンツキガヤ属とオニササガヤ属

モンツキガヤ属(Bothriochlora Kuntze)は世界の熱帯から亜熱帯に35種、オニササガヤ属(Dicanthium Willemet)は熱帯アジア~オーストラリアに20種があります。日本にはモンツキガヤ属はモンツキガヤBothriochlora baladhii (Retz.) A.Camusが南西諸島に自生し、本州~九州にカモノハシガヤB. ischamum (L.) Keng、ケモンツキガヤB. macra (Steud.) S.T.Blake、オオモンツキガヤB. pertusa (L.) A.Camusの3種の帰化記録があります。また、オニササガヤ属はオニササガヤDicanthium aristatum (Poir.) C.E.Hubb.、ヒメオニササガヤD. annulatum (Forssk.) Stapf、シラゲオニササガヤD. sericeum (R.Br.) A.Camusの3種の帰化記録があります。近年、南西諸島や西南日本を中心にヒメオニササガヤの帰化報告が多くなり、特に南西諸島では侵略的な様相を呈しつつあります。両属は互いに近縁で、外見はよく似ていますが、前者は総の中軸に半透明の溝があり、後者には溝がないことで区別されています。しかし、日本の図鑑類に図示されていないことから、モンツキガヤ属のカモノハシガヤがオニササガヤ属のヒメオニササガヤに誤同定されるなど、2つの属に分かれていることもあって、既存記録の同定には不安があります。そこで、これまでの両属の帰化記録の証拠標本にあたり、同定方法や日本国内の分布情報を整理しています。

最近の論文から

展示(みせる)

最近手がけた展示

教育・普及(つたえる)

2015年度に行った講座

  • 春のイネ科植物(5月)
  • 秋のイネ科植物(9月)

そのほか、友の会植物グループの観察会や講座をお手伝いしています。

2016年度に行う講座

  • 春のイネ科植物(4月)
  • 秋のイネ科植物(9月)

くわしくは講座・催し物のページをご覧ください。

最近出版された書籍

  • 勝山輝男, 2015. カヤツリグサ科スゲ属. 大橋広好・門田裕一・木原 浩・邑田 仁・米倉浩司編, 改訂新版 日本の野生植物1 ソテツ科~カヤツリグサ科. pp297-336; カヤツリグサ属. 同. pp336-342; テンツキ属. 同. pp.346-350; ヒゲハリスゲ属. 同. pp.351-352. 平凡社, 東京.
  • 植村修二・勝山輝男・清水矩宏・水田光雄・森田弘彦・廣田伸七・池原直樹, 2015. 増補改訂日本帰化植物写真図鑑第2巻. 579pp. 全国農村教育協会, 東京.
  • 勝山輝男, 2015. ネイチャーガイド 日本のスゲ 増補改訂. 391pp. 文一総合出版.
  • 勝山輝男・北川淑子, 2014. カヤツリグサ科ハンドブック. 88pp. 文一総合出版, 東京.
  • 木平勇吉・勝山輝男・田村 淳・山根正伸・羽山伸一・糸長浩司・原慶太郎・谷川潔編, 2012. 丹沢の自然再生. 612pp. 日本林業調査会, 東京.