2014年度特別展関連「どうする?どうなる!外来生物」 連載記事

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「どうする?どうなる!外来生物 8. 固有種ニホンザルを守る」

ニホンザルは、日本だけに生息する霊長類である。霊長類の多くは赤道付近だけに生息しているが、ニホンザルだけは高緯度地域に生息している。近年、ニホンザルの種の存続を脅かす問題が発生している。タイワンザルやアカゲザルなどの近縁種との交雑である。交雑がこのまま進むと、ニホンザルが絶滅する危険性もあり、深刻な問題である。

尾長10センチ以下のニホンザルに比べて、タイワンザルが約40センチ、アカゲザルが30センチ、雑種個体の尾はニホンザルと外来種の中間の長さになるため、発見は比較的容易である。国内5つの地域に外来種の群れが見つかり、一部では交雑が確認された。すべてが遊園地などの飼育施設由来で、飼育放棄やずさんな管理がきっかけとなっている。

交雑を止める最も効果的な方法は捕獲である。青森県下北半島と和歌山県南部では研究者家や住民の協力を得てタイワンザルの群れと交雑個体の捕獲を進めてきた結果、根絶がほぼ達成された。捕獲に対しては「かわいそう、飼えないの?」などの意見が寄せられることも多い。対策は「種の保存」を基本に、合意形成を図りながら進める必要がある。

ニホンザル(左)とタイワンザル(右)尾の長さが違う

ニホンザル(左)とタイワンザル(右)尾の長さが違う

(当館学芸員 広谷 浩子)

※こちらは2014年9月5日付け神奈川新聞に掲載された記事の内容を紹介しています。

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