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学芸トピックス―和田英敏―
学芸員の和田と名誉館員の瀬能が新江ノ島水族館と共同でウツボ科魚類の2新種を発表しました

学芸員の和田と名誉館員の瀬能が新江ノ島水族館と共同でウツボ科魚類の2新種を発表しました

2026年4月29日 更新

学芸員の和田と名誉館員の瀬能は、新江ノ島水族館の藤田温真氏と共同で、ウツボ科の2新種であるアワウツボEchidna awa およびサガミウツボEchidna sagamiensis の特徴と分布状況を日本魚類学会の英文誌『Ichthyological Research』に論文として発表しました。

いずれの種も神奈川県沿岸を含む日本太平洋岸の岩礁域に生息しており、およそ40年前から同海域のダイバーの間で「名無しの権兵衛」として認知されていたウツボでした。これらの標本を収集し、歯の形態や骨格、体色の変異幅などを詳細に調査した結果、既知のいずれの種とも一致しない新種であることが明らかになりました。

ウツボ科魚類は、日本近海でみられる魚類の中でも特に高い種多様性をもち、前述の2種を含めると現在74種が知られています。しかし、多くの種が巣穴から頭部のみを覗かせる生態をもつため、水中観察下では観察できる部位が限られるために種同定が困難な場合も少なくありません。また、ウツボ科魚類には未記載種や隠蔽種が依然として多く含まれている可能性が高く、現状の種多様性は過小評価されていると考えられます。そのため、種の識別基準を確立し、分類学的実態を把握するための研究が引き続き求められています。

アワウツボおよびサガミウツボの命名の基準となったそれぞれ1件の標本(ホロタイプ)とあわせて比較に使われた他の標本(パラタイプ)、および写真資料は、当館の魚類標本コレクションおよび魚類写真資料データベースに登録されています(写真)。

【論文情報】
Fujita, A., N. Oomori, H. Senou & H. Wada, 2026. Two new species of the genus Echidna (Anguilliformes: Muraenidae) from the Pacific coast of southern Japan. Ichthyological Research,
DOI: https://doi.org/10.1007/s10228-026-01065-y

【外部サイト】
新江ノ島水族館HP えのすいトリーター日誌

1_Echidna_awa.jpg

アワウツボ Echidna awa

KPM-NI 71213(パラタイプ),全長290 mm,伊豆海洋公園

2_Echidna_sagamiensis.jpg

サガミウツボ Echidna sagamiensis

KPM-NI 4225(パラタイプ),全長243 mm,伊豆大島

KPM-NIは当館魚類標本であることを示す記号です。