2019年度
トップページ
新着情報
学芸トピックス
2019年度
当館収蔵の標本からハエの新種が発見されました

当館収蔵の標本からハエの新種が発見されました

2019年8月22日更新

当館では、学芸員が自ら採集したり、一般市民や外部研究者の方々から寄贈を受けることで、日々資料を収集しています。学芸員の渡辺は、愛好家が少なく、寄贈で集めにくい昆虫について特に意識して資料を集めています。このたび、今までに収集してきたハエの標本の中から新種が見つかり、これらの標本が論文で用いられましたので紹介します。

論文は愛媛大学大学院生の黒田啓太氏と、大阪市立自然史博物館外来研究員の大石久志氏によるもので、動物分類学の国際誌Zootaxaに掲載されました。この論文ではハエの一群であるムシヒキアブの仲間について検討を行い、2種の新種を記載しています。当館の標本はそのうち、奄美大島と徳之島から発見されたAmmophilomima amamiensis Kuroda & Ohishi, 2019(図1, 2)という種の記載に用いられ、雌雄各1個体がパラタイプ※として指定されました(資料番号: KPM-NK 75542, 75543※※)。

なお、これら2個体の標本は、当館に収蔵されるはじめてのハエ目昆虫のタイプになります。

 

※生物の学名を命名する際に使われる標本をタイプといいます。ホロタイプは学名の基準となる標本で、タイプの中から一つだけ選ばれます。パラタイプはホロタイプの予備のような存在で、ホロタイプと合わせてその生物の特徴を理解する上で重要な役割を果たします。

※※KPM-NKは当館の資料番号であることを示す記号です。

 

図1, 2, Ammophilomima amamiensis Kuroda & Ohishi, 2019のメス(図1)とオス(図2)黒田啓太氏提供

 

論文情報:Kuroda, K. & H. Ohishi, 2019. Taxonomic review of the genus Ammophilomima (Diptera: Asilidae: Leptogastrinae) in Japan. Zootaxa 4646 (2): 357–368.