魚の会講演会
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特別展関連行事 魚の会(うおのかい)平成27年度第2回講演会 生命の星・地球博物館共催 「自然科学に貢献した江戸の博物画」

特別展関連行事 魚の会(うおのかい)平成27年度第2回講演会 生命の星・地球博物館共催 「自然科学に貢献した江戸の博物画」

日程:2015年8月9日(日曜)

18世紀は博物学の時代として知られています。動物ではリンネの『自然の体系 第10版』とクラークの『スウェーデンのクモ』(いずれも1758年1月1日出版とみなす)、種子植物とシダ植物の種はリンネの『植物の種 第1版』(1753年5月1日出版とみなす)を起点とし、種に対しては二名法で表記される学名を与えることで、自然界が体系的に分類されるようになったのです。それ以降、西欧の博物学者による熱心な探検と標本収集が始まり、世界中の生物が精力的に記載されるようになりました。江戸時代、鎖国中であった日本の動植物の入手は西欧諸国にとって困難でしたが、魚類では有名なシーボルトが来日する前の18世紀後半から、オランダのホッタイン、スウェーデンのツュンベリー、フランスのキュビエらによって新種が記載されています。ただし、その記載に使われた根拠資料は必ずしも明らかではないという問題がありました。そこで、西欧の博物館に現存する資料調査を進めたところ、標本だけでなく、日本の江戸時代の博物画や本草学の文献が活用されていたことが明らかになってきました。これにより、近代生物学の発展と関係がないとされていた江戸博物学とその産物である図譜が生物学に寄与していたことが判明し、日本で大流行した江戸博物学が自然史科学的に評価されることになったのです。講演では、江戸時代の博物図譜、西欧人が描いた生物画、西欧に現存する魚類標本によって再現された東西交流の歴史ドラマを、多くの写真を用いてお話したいと思っています。

講師:滝川 祐子(たきがわ ゆうこ)氏(香川大学農学部技術補佐員)

北海道生まれ、香川県育ち。1997年津田塾大学学芸学部国際関係学科卒業。2000年オックスフォード大学キーブル・カレッジ考古学人類学部卒業。学術修士。民間会社等勤務の後、2008年から香川大学農学部技術補佐員。2003年秋に高松松平家歴史資料『衆鱗図』に出会い、大きな衝撃を受ける。2007年に福武学術文化振興財団(当時)から研究助成を得て、『衆鱗図』が転写を通じてシーボルト『日本動物誌 甲殻類編』の参考資料として寄与していたことを突き止める。それ以降「西欧の博物学の進展に貢献した日本の資料」をテーマに調査研究を継続。西欧の博物館を歴訪し、図譜・文献資料と学名の関係、有名無名の来日外国人が収集した日本産魚類標本コレクションの現存資料調査と、その歴史的背景となる東西交流史を研究している。
著書:奥谷喬司 編著『日本のタコ学』東海大学出版会(2013)(滝川祐子「日本のイイダコ、フランスデビュー」分担執筆)。

当日ご来場の方には特別展関連の細密画クリアファイル(非売品)をプレゼントします。

開催日 2015年8月9日(日曜)
場所 神奈川県立生命の星・地球博物館 1階西側講義室
開催時間 14時から15時
参加方法 当日受付
料金 無料
主催

魚の会(うおのかい)

「魚の会(うおのかい)」は、研究や産業、趣味を通じて「魚」に携わる人々が気軽に集い、親睦をはかり、あわせて水圏の環境保全に寄与することを目的として活動しています。第一線で活躍されている著名な先生をお招きして開催している年4回の講演会には、どなたでも自由に参加できます。お知り合いの方もお誘い合わせの上、お気軽にご参加ください。

問合せ先 神奈川県立生命の星・地球博物館 担当:瀬能 宏
電話:0465-21-1515 e-mail:senou@nh.kanagawa-museum.jp