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魚の会(うおのかい)平成26年度第3回講演会 「私の魚採りと魚類分類学」

魚の会(うおのかい)平成26年度第3回講演会 「私の魚採りと魚類分類学」

日程:2014年12月7日(日曜)

魚類分類学の基本は、あたり前ですが標本です。私は大学で、ウツボ科魚類の研究を始めました。標本は魚種によって、漁業者等から容易に得られる場合もありますが、ウツボ科魚類の標本は、研究者が直接採集の努力をしないと得られない魚種の一つです。今でこそ、博物館の所蔵標本の情報をWEBサイトなどで簡単に得ることができ、また、所蔵機関の多さからそれなりに利用もできますが、私が研究を始めたころ(1980年代)は、そのような情報は手に入りませんでした。そもそも、当時は、日本産のウツボ科魚類の分類そのものもなされておらず、貧乏学生にとって、全国の大学や研究機関を訪れることも無理でした。私の研究のスタートとなったのは、京都大学の松原喜代松先生とその門下の研究者がなされた奄美諸島周辺の魚類調査(1958年)で収集されたウツボ科魚類の整理です。もともと、魚採りが好きだった私にとってこのホルマリン標本では物足らず、まず、“生標本採り”ということで、沖縄方面に短期間ですが出かけました。研究の手始めとして、奄美諸島のホルマリン標本とこの沖縄諸島や紀伊半島周辺の“生標本”をもとに日本産ウツボ科魚類の分類学的な論文をまとめました。もちろん、種数の多いウツボ科魚類、これだけでは終われるはずもなく、再び“生標本採り”に沖縄方面に出かけたのは言うまでもありません。今回は、これらの“生標本採り”で得た標本採集の方法、標本を自らの手で得ることの重要性や生標本の分類学的研究における重要性、その後、訪れたヨーロッパやアメリカの博物館での標本の観察の様子をお話させていただきます。

講師:波戸岡 清峰(はとおか きよたか)氏(大阪市立自然史博物館主任学芸員)

1956年広島県生まれ。京都大学大学院農学研究科修了。農学修士。大阪府立高等学校理科教諭を経て、大阪市立自然史博物館学芸員。専門は魚類分類学。魚採りを始めたのは潮流の激しい瀬戸内海中央の島で育った幼少の頃。浪人中に出版された「南日本の沿岸魚」(1975年)に多大なる影響を受ける。ウツボ科を中心としたウナギ目魚類全般、ゲンゲ科魚類、タウエガジカ科魚類等を研究。主な著書(いずれも共著)に「日本産魚類大図鑑」(東海大学出版会、1984年)、「山渓カラー名鑑:日本の海水魚」(山と渓谷社、1997年)、「日本産魚類検索:全種の同定、第三版」(東海大学出版会、2013年;初版:1993年;第2版:2000年;英文版:2002年)がある。

開催日 2014年12月7日(日曜)
場所 神奈川県立生命の星・地球博物館 1階西側講義室
開催時間 14時から15時
参加方法 当日受付
料金 無料
主催

魚の会(うおのかい)

「魚の会(うおのかい)」は、研究や産業、趣味を通じて「魚」に携わる人々が気軽に集い、親睦をはかり、あわせて水圏の環境保全に寄与することを目的として活動しています。第一線で活躍されている著名な先生をお招きして開催している年4回の講演会には、どなたでも自由に参加できます。お知り合いの方もお誘い合わせの上、お気軽にご参加ください。

問合せ先 神奈川県立生命の星・地球博物館 担当:瀬能 宏
電話:0465-21-1515 e-mail:senou@nh.kanagawa-museum.jp