魚の会講演会
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魚の会(うおのかい) 令和3年度第3回講演会「宮崎県の“さかなのまち”の魚類多様性」

魚の会(うおのかい) 令和3年度第3回講演会「宮崎県の“さかなのまち”の魚類多様性」

宮崎県は九州の太平洋岸に位置しており、南北に長い沿岸地形をもっています。宮崎県の沿岸の中心部は長さ50 kmほどにおよぶ砂浜海岸で形成されており、その上下には岩礁域があります。南部は鬼の洗濯岩で知られる板状の岩盤が連続していますが、北部はそのような地形ではなく、入り組んだリアス式海岸になっています。今回ご紹介する門川湾はこの宮崎県の北部に位置する小さな湾で、門川町の沿岸はすべてこの門川湾に面しています。北は遠見半島、南は日向岬と呼ばれる岩礁に囲まれたこの湾の奥部には複数の河川が流れ込んでおり、陸地からの栄養分の供給もあって、湾周辺では古くから漁業が盛んです。私は2015年から約5年間、この門川湾の周辺海域で地元の漁師さんや門川町、宮崎大学の学生諸氏の協力のもと、魚類相調査を行ってきました。この調査は、先に述べた宮崎県や門川湾周辺の海洋環境の多様性や生物地理について魚類相の観点から明らかにすると同時に、「さかなのまち」と呼ばれる門川町の地域振興のための図鑑を制作・出版することも目的としておりました。今回の講演では、魚類相調査の概要と、調査によってわかってきたこの海域の特徴や出版した図鑑についてご紹介いたします。

「カドガワウケグチヒイラギ」の画像

カドガワウケグチヒイラギDeveximentum interruptum KPM-NI 41928 宮崎県門川町門川湾産 村瀬敦宣撮影
2017年に門川産の標本に基づいて日本から初めて記録されたヒイラギ科の魚
「カドガワ」を冠した魚には他にカドガワフエダイLutjanus johnii(フエダイ科)が知られているが、地名ではなく人名にちなんだもの
※KPM-NIは当館の魚類標本資料であることを示す記号です。

講師:村瀬敦宣(むらせあつのぶ)氏(宮崎大学准教授)

1981年東京生まれ。2011年東京海洋大学大学院海洋科学技術研究科博士課程修了。博士(海洋科学)。2012年から青年海外協力隊隊員として2年間中米のコスタリカへ派遣された後、2014年から東京海洋大学海洋科学部の博士研究員を経て、2015年から宮崎大学農学部海洋生物環境学科の助教となる。2020年から同学科准教授。専門は沿岸性魚類の生態学。現在は九州を中心に、海洋生物地理学および河口環境とその周辺生態系の理解に関する研究を進めている。主な著書に『東京湾の魚類』(平凡社/共著)、『門川町周辺の海辺の生き物ガイドブック』(宮崎大学延岡フィールド/監修)、『小学館の図鑑Z 日本魚類館』 (小学館/共著)、『宮崎県のさかなのまち 門川の魚図鑑』(宮崎大学延岡フィールド/共編)が、著作物に『さかなのまち 門川の魚かるた』がある。

開催日 2021年7月18日(日曜)
場所 神奈川県立生命の星・地球博物館 1階西側講義室
開催時間 14時から15時
定員

当日受付【ただし、7月11日まで来館にあたっては当館ウェブサイトからの事前予約が必要となっており、7月14日(7月12、13日は休館日)以降も延長される可能性があります。事前に当館ウェブサイトをご確認ください。】

先着22名

料金 無料
主催

魚の会(うおのかい)

「魚の会(うおのかい)」は、研究や産業、趣味を通じて「魚」に携わる人々が気軽に集い、親睦をはかり、あわせて水圏の環境保全に寄与することを目的として活動しています。第一線で活躍されている著名な先生をお招きして開催している年4回の講演会には、どなたでも自由に参加できます。お知り合いの方もお誘い合わせの上、お気軽にご参加ください。

問合せ先 神奈川県立生命の星・地球博物館 担当:瀬能 宏
電話:0465-21-1515 e-mail:senou@nh.kanagawa-museum.jp