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特別研究員の和田が執筆した論文が“2022年度日本魚類学会 論文賞”を受賞しました

特別研究員の和田が執筆した論文が“2022年度日本魚類学会 論文賞”を受賞しました

2022年9月27日 更新

特別研究員の和田が鹿児島大学総合研究博物館の本村浩之教授および京都大学フィールド科学教育研究センターの甲斐嘉晃准教授と共同で発表した論文が、“2022年度日本魚類学会 論文賞”を受賞しました。論文のテーマは深海性のカサゴの仲間であるアカカサゴ属の分類学的再検討で、2022年9月18日に大阪市にて開催された2022年度日本魚類学会年会の総会において受賞式が行われました(写真)。

この論文は、これまで姿形がよく似るためにシロカサゴ属に分類されていたアカカサゴは、系統的な位置づけや骨格の特徴が異なる別の属であり、さらにその属は2新種を含む5種で構成されるということを明らかにしたもので(図)、いまだに謎が多い深海性魚類の多様性の解明に大きく貢献するものとして高く評価されました。

アカカサゴ属に近縁な属には他にもヤセアカカサゴ属やクロカサゴ属が知られていますが、いずれのグループも十分に多様性が評価されておらず、積極的な分類学的研究が必要とされています。

受賞論文に使用されたアカカサゴ属とシロカサゴ属の標本の一部は、神奈川県立生命の星・地球博物館の魚類標本コレクションとして収蔵されています。

 

【論文情報】

Wada, H., Y. Kai, and H. Motomura, 2021. Revision of the resurrected deepwater scorpionfish genus Lythrichthys Jordan and Starks 1904 (Setarchidae), with descriptions of two new species. Ichthyological Research, https://doi.org/10.1007/s10228-020-00793-z.

 

瀬能 宏日本魚類学会会長(左;当館学芸員)より賞状を授与される和田英敏(右;当館日本学術振興会特別研究員) 於大阪公立大学杉本キャンパス
9月18日に開催された懇親会での記念撮影左から和田特別研究員,奨励賞を受賞された平瀬祥太朗氏(東京大学),安房田智司2022年度日本魚類学会年会実行委員長,瀬能会長 於都シティホテル大阪天王寺

受賞論文の概要(リスリイクチス・グラハムアイおよびリスリイクチス・デンタータスの写真はオーストラリア連邦科学産業研究機構から提供。その他の写真は神奈川県立生命の星・地球博物館 所蔵。)