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魚の会(うおのかい) 令和4年度第3回講演会「性転換する魚たち」

魚の会(うおのかい) 令和4年度第3回講演会「性転換する魚たち」

「性転換する魚たち―館山湾坂田(ばんだ)の研究から―」

約35,000種いる魚類の中で425種が一生の間に性を変える、つまり性転換することが知られています。なぜ性転換するのでしょうか?それは雄と雌の社会関係が大きくかかわっていて、性転換することで自分の子供をより多く残すことができるからです。性転換には雌性先熟(雌から雄に性転換)、雄性先熟(雄から雌に性転換)、双方向性転換があります。雌が大きな雄を選ぶような社会では一夫多妻となり雌性先熟が進化します。例えばベラ科のオハグロベラは雄が縄張りを構え訪問して来る雌と産卵する一夫多妻社会です。サイズによる社会順位があり、雄がいなくなると一番大きな雌が性転換して雄になります。一方、相手を選ばず誰でもよいランダムな配偶では雄性先熟が進化します。じっさい、コチ科のセレベスゴチは雌雄が様々な相手と産卵する社会で、ランダムに相手が決まるようです。社会順位は無く、2歳になると自動的に性転換します。双方向性転換をするハゼ科オキナワベニハゼは一夫多妻のハレム社会で、やはり雄がいなくなると一番大きな雌が雄に性転換します。しかし、雄はより大きな雄と出会うと雌に戻ってしまいます。この講演では性転換が進化する仕組みについて説明し、館山の野外研究や飼育実験で得られた成果を紹介します。

 

性転換する魚たち

 

講師:須之部友基(すのべともき)氏(東京海洋大学教授)

1957年埼玉県生まれ。九州大学大学院農学研究科修了。農学博士。千葉県立中央博物館を経て、2006年より東京海洋大学館山ステーションに勤務。専門は魚類行動生態学で、性転換する魚類を中心に配偶システム、縄張り構造、保護行動などについて主に潜水による野外研究により明らかにしてきた。現在の観察場所は職場の目の前に広がる館山湾であるが、鹿児島、奄美大島、アフリカのタンガニーカ湖でも調査してきた。著書は「魚類生態学の基礎」、「魚類の行動研究と水産資源管理」、「魚類学」など。

開催日 2022年11月20日(日曜)
場所 神奈川県立生命の星・地球博物館 1階西側講義室
開催時間 14時から15時
定員 当日受付 先着25名
料金 無料
主催

魚の会(うおのかい)

「魚の会(うおのかい)」は、研究や産業、趣味を通じて「魚」に携わる人々が気軽に集い、親睦をはかり、あわせて水圏の環境保全に寄与することを目的として活動しています。第一線で活躍されている著名な先生をお招きして開催している年4回の講演会には、どなたでも自由に参加できます。お知り合いの方もお誘い合わせの上、お気軽にご参加ください。

問合せ先 神奈川県立生命の星・地球博物館 担当:瀬能 宏
電話:0465-21-1515 e-mail:senou@nh.kanagawa-museum.jp