【ミニ企画展示】神奈川の石材 ―堅石と軟石―

石はかつて、人々の生活に欠かせない素材として重要な役割を担っていました。道や石垣、石塀、門柱、家の土台、敷石、流し場、かまど、石臼、砥石、漬物石など、身近なところに使用されていました。

神奈川県の石材は、堅石 （ かたいし ） と軟石 （ なんせき ） に分けられます。堅石は安山岩などの硬い岩石、軟石は凝灰岩などの柔らかく加工しやすい岩石です。

神奈川の石材産地マップで主な産地をみると、堅石の主な産地は、箱根火山周辺にあります。そこでは溶岩（おもに安山岩やデイサイト）を、本小松石、新小松石、根府川石、白丁場石などを堅石として採石したのです。

一方、軟石の主な産地は、丹沢や三浦半島など各地にあります。そこでは地層に由来する堆積岩（おもに凝灰岩）を、鎌倉石、鷹取石、七沢石などを軟石として採石しました。

石材の需要や岩質、埋蔵量、運搬方法などの条件におうじて、石切場が開発されてきました。しかし、小規模な石切場は知られることなく、地域から消えていったものが多数あるようです。現在、あらためて地域の石材情報を再発掘することが大切だと考えています。

堅石 （ かたいし ）

新小松石

本小松石

根府川石

白丁場石

軟石 （ なんせき ）

湯本石

風祭石

七沢石

七沢石

久野石

鎌倉石

鷹取石

神奈川県の地質図と主な石材産地

KPMNH2023年版