展示余話「リンドウの花の性」

リンドウの模型の画像

リンドウは草原などの明るい環境に生育する植物です。3階の神奈川展示室にあるリンドウの模型を見てみると、この写真にあるように、花の中心部分にあるおしべとめしべの配置がそれぞれ違っています。どうしてこうなっているのでしょうか…?

植物の中には自家受粉(同じ花の中での受粉)を避けるためにおしべが花粉を出す時期(オスの時期)とめしべが花粉を受け取れるようになる時期(メスの時期)をずらしているものがあります。そして、その様子がこの展示模型に表現されているのです。

中央下の花は咲いて間もない花を表現しており、5本のおしべが花の真ん中に集まって、めしべはおしべの下に隠れています(オスの時期)。その後、左上の花の様に、おしべはしおれて広がり真ん中にあるめしべが伸びてきます。そして、右上の花の様に、中央のめしべが伸びてきます(メスの時期)。

このような精巧な模型であるためか、「本物ですか?」と質問されたり、「水やり大変ですね」と声を掛けられたりすることもあります。

(学芸員・石田祐子

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