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【特別展】生き物を描く~サイエンスのための細密描画~

【特別展】生き物を描く~サイエンスのための細密描画~

この展示は終了しました

お知らせ

9月2日 特別展の展示品の一部を入れ替えました
8月21日 一部展示品の入れ替えを8月25日から9月1日の期間に順次行います。何が替わるかはお楽しみ!
7月18日 展示解説書が販売開始されました
7月10日 スペシャルページを掲載しました
7月9日 学芸員の折原執筆の菌類画に関する記事が神奈川新聞に掲載されました
7月3日 特別展で展示予定の、故田淵行男氏が描いた細密画に関するニュースが、新聞に掲載されました
7月1日 9月21日に特別展関連第1回ワークショップ 「描いて観て楽しむ小さな世界」を開催します
7月1日 8月1日に特別展関連講演会 「サイエンスにおける生物画とその世界」を開催します
5月12日 特別展「生き物を描く ~サイエンスのための細密描画~」の準備風景を紹介しています
4月14日 2015特別展「生き物を描く~サイエンスのための細密描画~」ページを掲載しました

 概要

2015年度【特別展】生き物を描く~サイエンスのための細密描画~
開催期間 2015年7月18日(土曜)から 11月3日(火曜)
開催時間 9時から16時30分(入館は16時まで)
休館日 休館日カレンダーに準ずる
観覧料
観覧料
(常設展含む)
個人 団体
(有料人員20人以上)
20歳以上65歳未満
(学生を除く)
720円 610円
15歳以上20歳未満・学生
(中学生・高校生を除く)
400円 300円
高校生・65歳以上 200円
中学生以下 無料
  • 学生の方は学生証、満65歳以上の方は、年齢を確認できるもの(運転免許証など)をお持ちください。
  • 障害者手帳/療育手帳/精神障害者保健福祉手帳の交付を受けている方は、手帳提示で観覧料は免除(無料)となります。総合案内にてご提示ください。
主催 神奈川県立生命の星・地球博物館
協力 川崎市青少年科学館、杉浦千里の作品保存会、大阪市立自然史博物館、東京大学総合研究博物館、神奈川県植物誌調査会、東海大学出版部、小田急グループ
問合せ先 神奈川県立生命の星・地球博物館
〒250-0031 神奈川県小田原市入生田499
電話:0465-21-1515 FAX:0465-23-8846

A4版チラシのPDFファイルをダウンロードできます

展示内容

生物をスケッチして生み出される生物画は、生物学の発展とその知見の普及に大きく貢献してきました。精緻な点描画から単純な線画、わかりやすい図鑑や本の挿絵など、私たちが生物画に接する機会は意外に多いものです。しかし、観察したことをわかりやすく伝えるために施された数多くの工夫や、作図を裏で支えるテクニックを知る機会はあまりありません。今回は、博物館が収蔵する資料を中心に、サイエンスの世界での生物画の魅力や重要性を解説し、それを支える道具やテクニックを、学芸員や生物画のプロが作成した生物画を織り交ぜながら紹介します。

展示の準備状況はホームページで随時紹介しています。

展示解説書 「生き物を描く~サイエンスのための細密描画~」(120ページ フルカラー)目次(76KB) 完売しました

 

展示解説書26ページと27ページ
展示解説書38ページと39ページ

1. ようこそ生物画の世界へ

1. ようこそ静物画の世界へ(展示の導入部)

展示の導入部となります。まずは、杉浦千里氏の描いたニシキエビの細密画と、当館収蔵のニシキエビの標本が、皆様をお出迎えします。「絵」と「標本」が同時に見られる場所はなかなかありません。杉浦氏が、ニシキエビをどれほど観察して作品を描いたか、実物標本と見比べながら、圧倒的な迫力をお楽しみください。今回の展示は、この見事な細密画を、普段と違う視点から楽しめるよう、博物館ならではの視点で、展示を作っています。展示を一巡し終わったら、もう一度、この作品を眺めてみてください。

この展示パートでは、サイエンス(科学)の世界における生物画について、その特徴や活躍する場面、描き方の手順、道具や印刷方法など、科学的な生物画の楽しみ方の「いろは」を紹介します。また、展示している道具は、学芸員が実際に使っているものです。絵を描くことに興味がある方、自由研究で生き物のスケッチをする方には、きっと参考になると思います。

 

1. ようこそ静物画の世界へ(サイエンスにおける生物画1)
1. ようこそ静物画の世界へ(サイエンスにおける生物画2)
1. ようこそ静物画の世界へ(田淵行男氏の細密画)

この展示パートの締めくくりとして、高山に棲むチョウやアシナガバチの生態解明で知られる田淵行男氏の描いた細密画の高精細なレプリカをご覧ください。今回展示している作品はいずれもピエゾグラフという特殊な方法で作られた原画のレプリカで、これにより皆様が間近で見られる形で展示できました。芸術的な絵としてではなく、科学的な視点で眺めてみてください。新しい発見があるかもしれません。なお、アシナガバチ、ツマジロウラジャノメ、オオミドリシジミ、アカシジミの4作品については、本邦初公開となります。緻密な観察に基づく精確さと圧倒的な迫力をお楽しみください。

2. 博物館と生物画

ここからは、博物館や学芸員に関係する生物画を中心に展示します。また、博物館の機能である研究活動や、教育普及活動において、生物画がどのように活躍しているか、お伝えします。魚、甲殻類、きのこ、鯨、植物、昆虫と、「生物画の多様性」をお楽しみください。

見どころとしては、以下のような展示物があります。

  • 冨山一郎博士の描いたハゼの細密画
  • 「日本産魚類検索:全種の同定」に使用された魚のスケッチ
  • 酒井恒博士の描いた甲殻類細密画
  • 菌類図鑑の父、今関六也氏の描いたきのこの細密画
  • 本郷次雄博士の菌類図譜
  • カーティスのボタニカルマガジン
  • 昆虫画の先達、奥村定一氏の描いた細密画
2. 博物館と生物画1
2.博物館と生物画2
2.博物館と生物画3

3. 生物画の達人たちの世界

ここでは、生物画を極めた5人の達人にご協力いただき、達人たちの作品(主に原画)を展示します。達人たちの描いた作品の美しさや技巧だけでなく、作品を制作する過程での苦労や、自然と向き合う哲学を感じてもらえればと思います。贅沢にも5人の達人たちの作品を一度に眺められるこの展示コーナーで、あなたの生物画観が更に広がること間違いなしです。

5人の「生物画の達人」

盛口 満 氏(沖縄大学教授・ゲッチョ先生)
中島睦子氏(植物画家)
川島逸郎氏(川崎市青少年科学館学芸員・生物画家)
舘野 鴻 氏(画家・絵本作家)
杉浦千里氏(故人:生物画家)

5人の「生物画の達人」1
5人の「生物画の達人」2
5人の「生物画の達人」3
5人の「生物画の達人」4

 関連行事

特別講演会「サイエンスにおける生物画とその世界」(当日受付:先着300名)終了しました

日時 2015年8月1日(土曜)13時30分から16時
場所 当博物館SEISAミュージアムシアター
演者 盛口 満 氏、川島逸郎 氏など
対象 一般

魚の会 2015年度第2回講演会(魚の会共催)「自然科学に貢献した江戸の博物画」終了しました

日時 2015年8月9日(日曜)14時から15時
場所 当博物館講義室
演者 滝川祐子 氏
対象 一般

サロン・ド・小田原「絵本制作のための昆虫観察日記・しでむし/ぎふちょう/つちはんみょう」(当日受付:友の会共催)終了しました

日時 2015年10月31日(土曜)17時30分から18時30分
場所 当博物館講義室
演者 舘野 鴻 氏
対象 一般

第1回ワークショップ「描いて観て楽しむ小さな世界」(事前申込み制)終了しました

日時 2015年9月21日(月曜・祝日)13時から16時
場所 当博物館講義室
演者 大山葉子 氏
対象 一般

第2回ワークショップ「ディスカバーミュージアム 野鳥を描いてみよう!」(事前申込み制)終了しました

日時 2015年11月1日(日曜)10時から16時
場所 当博物館実習実験室・常設展示室
演者 神戸宇孝 氏
対象 一般

特別展関連よろずスタジオ(当日受付)終了しました

日時 特別展期間中の一部日曜日(2015年7月26日、8月9日、8月23日、9月13日、10月11日)各13時から15時
場所 当博物館講義室
対象 こども

展示風景

7月15日から16日 展示準備が終わりました

ここ数日は最後の追い込みということもあり、朝から深夜まで、スタッフはひたすら準備をし、どうにか展示が間に合いました。展示が終わった後はケースの固定、電気配線の割り振り、照明の照度設定、やぐらに登ってのスポットライトの角度調整、ケースの清掃と怒涛の勢いで続きます。当館の特別展はほとんどがスタッフの手作りなのです。

作業自体は、大勢のボランティアさんの助けもあり、ほぼ当初の計画通りに進み、16日にはめでたく一通りの準備が終わりました。

いよいよ18日から展示がスタートです。皆様、ぜひお越しください!

展示ケースの固定を行う
佐藤学芸員

展示が日に日に
出来上がってゆく

スポットライトの調整。やぐらに登り、影がなるべくできないよう、気を配りながら照明を調整する

やぐらの上から見た景色

7月2日から6日 達人の作品が展示室に続々と搬入されました

今週末とその前後には、故杉浦千里氏と川島逸郎氏、舘野鴻氏の作品が立て続けに搬入され、展示室がグッと華やぎました。準備会場では、絵の見せ方の助言、相談や制作時のお話からはじまり、生き物の話題にそれ、時には臨時で収蔵庫ツアーを開催したりと、とても賑やかな毎日です。
どの達人も作品にものすごい情熱を注いでおり、これらの魅力をなるべく生かせるよう、スタッフも一層、気を引き締めました。

杉浦千里の作品保存会の増田さんご夫妻のご協力を得て、作品を梱包から出す瀬能学芸員

作品を作業台に並べ、
展示作品を選定する川島逸郎さん

展示パネルの設置も急ピッチで
進行しています

7月2日 展示室での準備が進んでいます

6月中旬の博物館燻蒸も終わり、特別展の会場では展示準備が本格化しています。今日は布張りや展示物のレイアウトに加え、田淵行男氏の描いたチョウの細密画のレプリカを、壁からワイヤーで吊るす作業を行いました。実際に壁一列に展示された作品を見て、スタッフ一同のテンションも上がり、次々に展示準備が進んでゆきます。まだまだ空きの多い展示ケース、1週間後にはどのくらい出来上がっているのか、少し不安もありつつ、楽しみなところです。

ボランティアさんの協力を得て
作品をワイヤーで吊るす

現在の展示室の風景

6月29日 特別展で展示予定の、故田淵行男氏が描いた細密画に関するニュースが、新聞に掲載されました

特別展で展示予定の、故田淵行男氏が描いた細密画に関するニュースが、新聞に掲載されました。詳細は博物館トピックスに掲載していますので、ぜひご確認ください。

6月9日 舘野鴻氏が描かれた細密画の中から展示する作品を選定しました

今日は、今回の特別展にご協力くださる舘野鴻氏が来館され、氏の描かれた見事な細密画の中から、展示に使わせていただく作品を選定しました。氏が絵を描くために行った膨大な量の観察に基づくお話は、とにかく面白く、目から鱗の連続でした。おかげさまで話は大いに盛り上がり、気づいたら昼が目前に迫っておりました。その後、実際に展示室やケースをご覧いただき、20点近い作品の中から、8点を選びました。どんな作品が展示されるかは、当日のお楽しみです。(渡辺・大坪・折原)

会議室で並べた作品の中から
展示する作品を選ぶ(左から二人目が舘野氏)

特別展主担当と展示ケースについて
打ち合わせている様子

5月7日 中島睦子氏が描かれたラン科の標本画の中から展示する作品を選定しました

今日は田中学芸員と主担当の渡辺が、今回の特別展にご協力いただく中島睦子氏の描かれたランの標本画を選ぶために、氏の作品が収蔵されている東京大学総合研究博物館に伺い、作品の選定を行いました。中島氏が2012年に出版した「日本ラン科植物図譜」は、当時日本から知られていた日本産のラン科全種(83属259種)を精密な標本画とともに解説した名著で、当館の収蔵標本も描画の際に使用されています。東京大学総合研究博物館では、東京大学の池田博准教授と清水晶子氏の協力を得て、通し番号をつけてきちんと管理されている作品の中から、目的の作品を探す作業を行いました。

今回の展示では、今回選定した中島氏の描かれた作品の原画と図譜、そして当館収蔵標本をセットで展示し、プロの標本画家の技術と哲学をお伝えする予定です。

展示する作品の選定風景
中島睦子氏の描かれた原図(左)と図譜のコピー(右)作品保護のためにパラフィン紙で覆ってありますが、特別展では外して展示します。

5月1日 今関六也コレクション菌類図譜のスキャニングをしました

菌類学者の故今関六也氏が描いたきのこの彩色細密画を、デジタル画像にする作業を行っています。この細密画は、台紙の上に糊で貼られているものが多く、さらにお手紙、標本などさまざまなものがあるため、スキャン作業は一筋縄ではいきません。作業は3日目に入り、協力いただくボランティアさんの手つきも慣れたものになっています。

今関六也氏は、サルノコシカケ類などのいわゆる硬いきのこを専門にされた菌類学の大家ですが、同時に一般向けの菌類図鑑を数多く手がけました。当館では学芸員の大坪を中心としてこの今関コレクションの整理と解析を行ってきました。今回の特別展では、今関氏が新種として記載した際に描かれたきのこの図や、各種の菌類図鑑に用いられた図などのほか、今関氏が譲り受けた「伊藤篤太郎菌類図譜」の一部も展示します。

菌類図譜のスキャニング作業1
菌類図譜のスキャニング作業2

4月28日 故田淵行男氏の描かれたチョウの細密画の展示について、打合せを行いました

ツマジロウラジャノメ

今日は、特別展の主担当である渡辺と折原の2名が、高山蝶の研究者で、山岳写真家としても著名な故田淵行男氏の描かれたチョウの細密画について、精巧なレプリカを所有されている斎藤禎一氏のところへ、展示の打合せ等のために伺いました。レプリカというとただ単にコピーしたような印象を持つ方もいますが、このレプリカ、大きさや色だけでなく、あらゆる細かな箇所においても、原画をきわめて忠実に再現されており、何も知らないで見た場合、まずレプリカであることには気づかない出来です。今日の打合せではスケジュールの確認のほか、我々主担当にとっては田淵氏作の額装された細密画を見る最初の機会でもあり、その大きさと随所に施された技巧も相成って、吸い込まれるような、すごい迫力でした。

今回の展示では、斎藤氏のご厚意もあり、色とりどりのチョウの細密画を多数、展示する計画でいます。今回は、その作品の雰囲気を少しだけお伝えしま す。写真の細密画は山地のガレ場などに見られるツマジロウラジャノメという種を描いた作品で、その脇の手と比べると、その大きさが分かるかと思います。実 際の展示では、これらの作品を心行くまで、間近から楽しめる予定ですので、楽しみにしていてください。

4月18日 奥村定一コレクションの生物画から展示する作品を選びました

今日は、当館の苅部学芸員、川崎市青少年科学館の川島逸郎氏によって、故奥村定一氏の描かれたトンボを中心とした細密画の中から、特別展で展示する生物画の選定作業が行われました。奥村氏は証券やお札に描かれるひじょうに緻密な絵を描くお仕事をされる一方、日本のトンボ学の先駆者として多くの業績を残されました。2013年に当館に寄贈された奥村氏の標本や細密画は、様々な方のご協力を経て整理、大切に保管されてきました。今回、整理のために会議室に並べられた細密画は、その美しさもさることながら、戦前から戦後にかけての昆虫学の歴史的資料としても迫力を感じさせるものでした。今回の特別展では、トンボの専門家である二人が、選りすぐりの作品と標本を展示する計画でいます。どんな展示ができるのか、楽しみですね。

奥村氏のコレクションについては、2013年2月2日のトピックス「日本のトンボ学の先駆者、故奥村定一氏のコレクションが寄贈されました」もご参照ください。

奥村コレクション整理風景1
奥村コレクション整理風景2