加藤ゆき (KATO, Yuki)
氏名 | 加藤ゆき (KATO, Yuki) |
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所属 | 動物・植物グループ 企画情報部企画普及課長/専門学芸員 |
専門 | 鳥類学・動物生態学 |
katoy@nh.kanagawa-museum.jp | |
生きものは何でも好きですが、特に哺乳類と鳥類が大好きです。自然の中にいる動物を観察し、どのような生活をしているのかを調べています。近頃は、神奈川県版レッドリストの改訂に備え県内のいたるところに遠征し、鳥類の生息調査をすすめています。 |
2024年7月24日 更新
資料収集(あつめる)
神奈川県産の鳥類資料をメインに収集しています
博物館にある動物の資料はその生きものがその場所にいたという「自然の証」。そのような貴重な「証」を後世に残すべく、ボランティアと協力して、少しずつ仮剥製や骨格標本、羽毛標本を製作しています。
研究助成
- 科学研究費補助金基盤(C)「ボランティアとの協働による神奈川県産動物資料の整備と公開に関する研究」(課題番号22601014;研究代表者)
- 科学研究費補助金基盤(C)「博物館で「自然財」をまもる-哺乳類標本の作製技術・情報管理の体系化と継承-」(課題番号17K01219;研究分担者)
古い剥製は解体して「羽毛標本」として生まれ変わります
仮剥製になったハヤブサとオオミズナギドリ
調査・研究(しらべる)
特定外来生物カナダガンの生態調査及び対策をすすめました
カナダガンは北米大陸に広く分布する大型のガンの仲間で、日本には観賞や展示を目的として輸入されたと考えられています。1985年に初めて静岡県富士宮市で2羽が観察されて以降、徐々に生息数が増え、2010年には静岡県田貫湖や山梨県河口湖、神奈川県丹沢湖で繁殖が確認され、その数は約100羽に達しました。
生息数増加に伴う生態系への影響を懸念したため、保護団体と共に2010年から生態調査を行うと同時に各地で防除をすすめました。その結果、2015年12月4日に茨城県牛久沼で最後の2羽(交雑1羽を含む)を捕獲し、茨城県内の飼育施設に収容しました。これにより、この時点までに野外で確認されていた全ての個体の防除が完了しました。(自然科学のとびら22巻2号p.12-13(3MB)参照)
外来生物対策は、定着初期の段階での発見と防除が極めて重要だとされています。今回のカナダガンの対策事例は、早期発見・早期防除・被害拡大防止を研究者と保護団体とが連携して実現した事例であり、特定外来生物の国内初の根絶事例とされています(環境省発表, 2015)。現在は、「野外にいないこと」を証明するために定期的な現地調査と情報収集を行っています。
研究助成
- 基盤研究(C)「外来生物問題を教える博物館-動物園ネットワーク構築に関する研究」(課題番号16K01052;研究代表者)
- 基盤研究(B)「生物多様性保全に向けての環境教育プログラムの作成‐外来生物問題の理解のために‐」(課題番号22300276;研究分担者)
- 平成20年度笹川科学研究助成「博物館へのリファレンス情報を利用した外来鳥類の生息状況のデータベース整備とそれを利用した今後の予想分布図の作成に関する研究」(研究番号20-802G;研究代表者)
河口湖でカナダガンを捕獲し、計測やサンプリングをした後、標識を付けて放します
標識用の首環を付けたカナダガン
展示(みせる)
特別展や企画展では、「裏方」として展示を支えてきました
2003年度 特別展「丹沢の自然-その生い立ちと生きもの-」(展示担当)
2003年度 特別展「侵略とかく乱のはてに ~未来につなげる自然とは~」(展示担当)
2009年度 特別展「木の洞をのぞいてみたら―樹洞の生きものたち―」(展示&図録担当)
2011年度 特別展「およげ!ゲンゴロウくん ~水辺に生きる虫たち~」(図録担当)
2016年度 企画展「レッドデータの生物-知って守ろう 神奈川の生き物たち-」(展示担当)
2012年度に企画展、2014年度に特別展で主担当デビューしました
2012年度 企画展「博物館の標本工房」
2014年度 特別展「どうする?どうなる!外来生物‐とりもどそう 私たちの原風景‐」
2019年度 特別展「アオバトのふしぎ~森のハト、海へ行く~」
2023年度 企画展「動物のくらしとかたち―薮内正幸が描いた生態画の世界―」
研究助成
基盤研究(C)「博物館体験の向上をめざす展示解説手法の研究-自然史博物館でおこなうUXDの試み-」(課題番号16K01206;研究分担者)
基盤研究(C)「誰もが楽しめる安全な展示手法の検討-特に幼児と高齢者へ配慮した展示を目指して-」(課題番号25350409;研究代表者)
基盤研究(C)「博物館展示における「ことば」の役割に関する研究-情報量基準化の試み-」(課題番号25350410;研究分担者)
企画展「博物館の標本工房」の展示光景
特別展「どうする?どうなる!外来生物‐とりもどそう
私たちの原風景‐」の展示光景
教育・普及(つたえる)
博物館内外で講座を行っています。
子ども向けの「動物講座」を行いました
子どものうちから身近な自然に触れ、観察することは、とても重要なことだと考えています。そのため、博物館や小学校などで、子ども向けの観察会や講座、出張授業を行っています。
博物館での講座
- 海辺の野鳥観察会
- アニマルトラッキング入門
- 比べてみよう鳥たちのつばさ
- 比べてみよう動物たちの手足
- 羽根の持ち主さがしに挑戦
- いろいろな羽根を観察してみよう
- 動物を描いてみよう!
- 鳥類の翼標本講座~鳥類標本作りに挑戦!剥製を作り残すための様々な工夫を学ぼう~
- 身近な野鳥の見分け方
- バードウォッチング入門
大人向けの「標本講座」を行いました
野鳥観察会などは、各地で行われていますが、「博物館の資料」を対象としたものはあまり見られません。そこで、高校生から大人を対象に、「博物館の資料を作る」講座を開催しました。また、夏休みには、教員を対象に「博物館の資料を活用する」講座も行いました。
事業助成
- 平成25年度全国科学系博物館活動等助成「博物館が教室へやってきた-標本で学ぶ生きものの形と進化-」(交付番号13109;研究代表)
- 平成23年度科学コミュニケーション連携推進事業 機関活動支援「地域の自然史資料を作り・学び・活用する人材の育成」(企画番号2308016;企画代表)
海辺の野鳥観察会の様子
アニマルトラッキング入門の様子
学芸トピックス
学芸員の活動成果や、メディアに取り上げられた際の情報を紹介しています。